守人(15)
3018年 10月6日
早朝に、罠の点検をする。最近の日課だ。
また不埒ものが捕まっていないかを確認する。
出来れば、脅迫犯が捕まってほしいが……。先日のように屋敷の人が捕まっていたら大変だ。
その後、不審な姿を見たものがいないかを家で働いているメイドや執事さんに聞きながら食事。
その後、ミリア嬢に付きそう。お昼からお勉強が始まるので、その間に昼寝。
午後のお茶に付き合いながらおしゃべりをする。
特に話す内容はとくに決まっていない。だが彼女の話は興味深いものだった。
思えば、こんな風に人にひたすら話を聞けたのはこの星にきて初めてかもしれない。
アンリエードの家にいたころは、片言でしかしゃべっていなかったし、ドーレス、クラウンに関してもそうだ。
傭兵になってからは話の話題はその場限りの事だった。
ミリア嬢はかなり教育を受けているらしい。特に歴史系に強いところがすばらしい。
歴史背景などを把握した人間との話は学ぶべきところが多い。
この仕事を受けたのは今の所、良かったと言える。
今のうちに、外国諸国の事を学んでおいた方が役に立つに違いない。
今現在居る国はデルフォース公国。
聞けば、このデルフォースは厳密には独立国ではないという。
そもそも公国とは王族の下の貴族が一番上の国を指すらしい。知らなかった。
じゃあ、もっとえらい王様の居る国は? というので出てくるのが、リコウダー王国。百年と少し前に、デルフォースの王族へ、リコウダー王国の貴族が婿入りした。
その貴族はデルフォースの王族であると同時に、リコウダー王国の貴族でもある。そこから、まあ政治的な判断がくだされ、デルフォースは王国ではなく、名目では公国になったそうだ。
だがデルフォースの歴史上で言えば、王様は王様である。ので王様が伯爵になったりはしないらしい。
「でもぉ。従属国と言うにはデルフォースは独立性が高いの。王様の病気から始まって嫌戦ムードだけど、最近までイケイケで戦争していた位だもの」
そう言われてそう言えば四年前まで戦争してたという話を思い出す。それが止んだのは王様が急病になったからだとかなんとか。だがこの間、国王に合った時は別に元気だったように思う。普通に喋ってたし。
それに対してミリア嬢はにっこり笑いながらこう言った。
「それで若い王妃様を貰ったの。愛は戦争も止めるのよ」
……なるほど、確かに王様と比べると若い王妃様だった。
うーむ。深い。