王都へ(13)
3018年 9月19日
宿の食堂でご飯を食べていると、コルビナー領の町で俺を迎えに来た王家直属と言っていた兵隊のオバさんがやってきた。
昨日にこの町に到着したらしい。ものすごく怒っていたので、王様にはきちんと合ったと言うと余計に怒りだした。
めんどくさい。
実にめんどくさいオバさんだなぁと思っていたら、クラウンまで現れた。
偉そうな二人は互いに偉そうなのでぎゃーぎゃーと騒ぎ出した。
実にめんどくさい。
とそこに昨日戦ったリンガーレンフォンが現れた。
リンガーレンフォンが二、三言うだけで、オバさんは悔しそうではあったが実にあっさり帰ってくれた。権力っていうのは偉大だと思う。
宝石騎士ってすごい。
そうしたら、クラウンもキャーキャー黄色い声を上げて、ファンだなんだと騒いでいたが、これまた二、三言われただけで顔を赤くして黙ってしまった。
宝石騎士ってすごい。感心する。
俺に用があったらしいリンガーレンフォンは昨日手抜きをしていたと勘ぐっているらしかった。
「あなたの戦い方は変」
真っ正面から変だと言われるとは思ってなかった。
目つきは悪いが意外と素直だなと思ったら、話を聞くとまだ十代のようだ。
えらく大人びて見える。それでも二十代後半に見える。
そう言ったら、クラウンからおもくそ頭を叩かれた。
クラウンの奴、容赦がない。
しかし十代とは……見た目よりもかなり若い。天才と言う奴なのだろうか。
こちらから質問したが、宝石騎士と言うのは単独で戦闘力のあり過ぎる人間がつく特別な役職であるらしい。
ある意味、異端児扱いだ。
特殊な任務に起用される例があり、宝石騎士団長がその全権を握っているとか。
宝石騎士になるにはその団長に認められなければならないらしい。
「なんなら、団長に紹介しようか?」とも言われたが、断っておいた。
昨日の尋問もどきで少し懲りたと言うのが本音だ。自分には実績と、後ろ盾がまるでない。嘘をつく基盤もない。
もう少しこの星の文化について学んだほうが良さそうだ。
加えて接近戦の技術も本格的に学んでおきたい。もしこの星で、俺くらいの身体能力があり、リンガーレイフォン並みの技術を持った敵がいたなら、俺はやられることになる。
宝石騎士に、もしなったとしたら俺よりも強い奴と戦う可能性がある。
なにせ、宝石騎士と言うのはこの国のなかで強いやつらであって、世界最強ではないのだ。外国に行けばまだみぬ強者がうじゃうじゃいるに違いない。
その中で俺に勝つ奴もいるかもしれないのだ。
戦争が起きれば武勲を立てるつもりだったが、それは不意打ちをする事も想定しての事だ。矢面に立って、正々堂々と強いやつと戦いたいわけでもない。
ましてや複数を相手にしたら大変だ。
保身に走るには少し早いが、考え方が甘かったのは認めなければならない。
この星は油断ならない。さらに、いつまで王都にいるんだと言われ困ってしまった。住居をこちらに移すべきだろうか?
しばらく悩もう。