王都へ(2)
3018年 9月9日
朝日が昇るか、昇らないかくらいでいきなり起こされた。
起こしたのはなんだか偉そうなオバさんだった。高そうな鎧を着ていた。
異性の寝室に無断で入り込むとは失礼な人だ。
昨日の兵隊の親分らしい。また膝の装甲をひっぺがしてやろうかとも思うが、自粛しておいた。この時点では俺が悪い事でもしたのかと思っていたのだ。
連れられるままに馬車に詰め込まれる。その対応があんまりに乱暴だったので、腹が立ってきた。しかし何で呼ばれたかが解らない。
それを尋ねると偉そうなオバさんいわく、王様からの勅命だと言うではないか。
なんで王様が俺に興味を持つのかは解らないが、だからと言ってこんな失礼な対応を取られて、「はい、そうですか」という気にはなれない。民主制暮らしを舐めるなよ。
なんでこんな対応を受けなければならないのかと聞いた所、「自分たちは王家直属の精鋭騎士で、それがわざわざ王都を離れて、異人であるお前を連れに来たのだから文句を言うな」などと言う。単に偉そうな高慢ちきなだけだったのだ。
何か知らない間に俺が悪い事でもしたのかと心配して損した。
オバさんに喧嘩を売ると、いとも簡単に馬車の中で剣を抜いたので、それを奪い取って窓から捨てた。
ほかの騎士も抜いたからそれも奪って捨てた。
オバさんがつかみかかってきたので、黙らせてから被っていたヘルメットを窓から捨てる。周りの騎士も同じようにつかみかかってきたので、同じように黙らせてから全員のヘルメットをはぎ取って投げ捨てた。
そうするとオバさんが無礼だなんだとうるさいので、手の中に合った最後のヘルメットを手の中で握りつぶして見せたら見事に黙った。
なるほど、間接的に相手をするより直接見せた方が効果があるものらしい。 覚えておこう。
もし黙らなかったら、本人を窓から捨てるしか無くなっていた。




