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2890年(2)
2890年 3月7日
食堂の夕飯が、ビーフシチューだった。彼女だった女の得意料理だ。
去年の11月くらいに俺に振る舞ってくれたのだ。
でも軍のビーフシチューの方が美味しかった。なんだか泣けてきた。
もしかして隠された暗号がありやしないかと、再度手紙を開いて目を皿にして覗き込んだ。
斜め読みで、キモイと書かれているのだけ見つけた。偶然だと信じたい。
そもそも俺が何か悪いことをしただろうか?
手紙は燃やした。彼女の写真も全部破棄した。ああ、ぜんぶ灰になってしまえ。