独り立ち(50)
3018年 9月4日
基地の見学はあっさりと認められた。
一番隊の基地は大きく、設備なども充実している様子だった。だが雰囲気としては二番隊より軽い。
そして古くて汚いと言った感じだ。というか、基地全体が軽く匂う。水道設備に限界があるから、人が多くなればしょうがないのかもしれない。
俺が傭兵だと言うと、兵士のほとんどが馬鹿にしてきたので腕相撲を行った。
ここでも連勝。しかし、最後に出てきた小柄な男が強かった。
それでも二メートルくらいはあったが、ほかの奴らと比べれば、頭一つは小さい。
濃い茶色をした、いかめしい顔の男だった。年は三十位だと思う。
ドンガガという名前だった。ほかの奴らがどよめいていたから、有名な男なのだろう。これが相当強かった。
ほかの奴らがリミッター三十パーセントで勝てる所を、八十まで引っ張ってまだ動かない。
向こうにも限界が近かったと思うが、机が先に壊れたため、勝負は無し。
「自分より小さいのに大したもんンだ」とドンガガは笑っていたが、俺から言わせれば天然なのに、なんであんなに強いんだ? と驚愕に値する。
そのまま自分を売り込もうとも思ったが、今は実績が少ない。
とりあえず、そこに集まった奴らと熊鍋を食った。うまかった。
アカ子の特徴を伝えて、何か情報が入ったら教えてくれと頼んでおいた。
まあ、今回はそれでよしとしておこう。