独り立ち(45)
3018年 8月30日
町に帰ってきた。トイユと別れ、ジョージのところへ向かう。
そうしたら、やたらと感謝された。
割と不気味顔のおっさんに感謝されると、あんまり気分が良くない。不思議だ。
給与は二倍払ってくれた。
喜んで受け取ったが、今になってよくよく考えれば逃げ出した傭兵の分が俺に回ってきただけでジョージは損してない事になるじゃないか。
……まあ、貸しにしておこう。アカ子の特徴を伝えて情報が入ったら教えてくれるように頼んだ。そうしたら不思議と新しい仕事が急遽決まった。
……うーん、完全に良いように使われている。後で思い返さないと、そうだと気がついていないところが厄介だ。そして別に反抗しなくても問題が無いところがさらにあれだ。
物理的な問題であれば、対処できるが精神的なものは厳しい。ナノマシーンもそこまで働いてはくれない。やりおるな、鼻でかジョージ。
だが引き受けた仕事は一番隊の基地へ行く輸送車の護衛だ。
食糧や衣類などの補給品の運送に付き合う。正直一番隊へ行く任務でなければ、休みを取るところだ。男所帯の一番隊には興味がある。
腕っ節だけでも通じるような、小ざっぱりとした感じだったら、再度軍入りを目指してもいいかもしれない。地図で言うと二番隊の基地とは反対側にあるらしい。
四日の晩には最寄りの村に付くと言う。出発は明日の朝。
今日はばたばたと宇宙服の確認と再交渉をしなくてはならない。