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独り立ち(39)
3018年 8月24日
昨日の遊びで傭兵の兄ちゃんと仲良くなる。名前はトイユ。
骨が太そうな男だが、話を聞けば六人兄弟の四男であるらしい。長男は家を継ぎ、次男はそれを手伝い、おおよそにしてそれ以外は家を出るそうだ。
昔、地球でも長男は家を継いだそうだから、そういうのは自然な事なのかもしれない。子供が出来るかどうかは自然出産ではわからないのだし。
二十九世紀では人工子宮による外部妊娠は割とスタンダードだった。
自分の体を使う自然出産は母体にかかる負担から推奨されてはいなかった。現に俺の母親はそれが原因で死んだと親父が言っていた。
まあ……実際のところ、逃げられたんじゃないかと思っていたが、真相を聞く前に親父も死んだし、その後で迎えにこなかった事も考えれば本当に死んでいたのかもしれない。