独り立ち(33)
3018年 8月18日
村人に山賊を預かってほしいと言ったら、俺達で駐屯所まで届けてほしいとのことだった。五人も面倒見てられないとの事。
昨日の山賊連中は全員気絶させていたのが災いした。ある意味、誰も殺してない処が、俺のすごさを漂わせるじゃないかと昨日は思ったのだが……山賊五人を傭兵がいない村に置いておくのは難しいらしい。
じゃあ、俺が残ろうかと言ったら御者のおっちゃんが青くなって、行かないでくれと懇願されてしまった。
ウーム、昨日のご飯が意外と高く付いてしまった形だ。しょうがない。御者の人曰く、乗合馬車が遅れるのは一番良くないそうだ。山賊に襲われても良いのかよとは思うが、まあ、それはそれ、これはこれなんだろう。
この二つ向こうの到着地点がこの領地の町だそうなので、明後日には引き渡せる形だ。仕方がないので町まで連行することにした。山賊は元気そうだから、走らせれば良いやと思っていたら、村の人が余った馬車を貸してくれるらしい。
山賊にも優しいのはすばらしいね。
……もしかして、途中で面倒になって逃がすとでも思われたのだろうか?
うーむ、わからん。
ついでに山賊分の食べ物も、少しだけ分けてもらえた。良い人たちだ。
そんなこんなで、村を離れてからほどなく、再び山賊に襲われた。
数は七。昨日の奴らの仲間なのはすぐわかった。ぶっちめてやった。
山賊が弱いというより、俺が強かったのだ。ぬわはははは。
全部生け捕りにしたので捕虜の数は十二になった。結局、馬車に乗らなくなったので、数珠つなぎで走らせる事になった。
山賊達がギャーのギャーの喚くが、尻を叩いて黙らせた。
うーむ、軍隊の訓練を思い出す。俺を鍛えてくれた軍曹が「俺だって辛い」と言っていたが、あれは噓だな。実際、優越感が合ったに違いない。
あのやろう、思い出したら腹が立ってきた。あんなのは人として最低だな。
癖になる前にさっさと引き渡してしまおう。
一緒に付いて来た商人さんから酒をおごってもらった。自家製と言う紫色の酒は酸っぱくてまずかった。うーむー。