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惑星ジェミニ物語  作者: 森山 銀杏
第六章『大地』
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独り立ち(13)

3018年 7月30日


予定よりも遅れて、リューマ山の最寄りの村に付いた。付いたのは夕方だった。


化け物が居るリューマ山はこの町から半日ほど掛けた場所にあるらしい。


宿屋に部屋を借りて、塩気の濃い肉を食べる。


パンボスという四本足で鳥のように羽の生えた生き物の串焼きを食う。地方の味付けなのか、香辛料が多くて美味しい。パンボスなんて書けばパンの親玉みたいな名前だが触感と油がある感じが、豚バラみたいで美味しい。合成肉じゃないのが当たり前になってきている。


ちょっと前まで唐揚げでも喜んでたのに、すごい違いだ。


まあ、あの頃は宇宙船が落ちるなんて思ってなかった。


聞けば、あえて太らせて飛べなくしてから食べるのがおいしい食べ方だと言うから、食文化とは大したものだと感心する。


お値段は高めだが、アイシャをねぎらう意味では彼女も喜んでいたし良かったと思う。


「でもじっさい、何為にここまで来たの?」


そう聞かれたので、「先日の大暴れを見込まれて部隊の隊長にリューマ山の化け物に関する調査を頼まれた」と嘘をついた。


驚いている様子の彼女いわく、リューマ山の化け物は大木の様な体をもっていて、山に入るものを無作為に襲うのだと言う。


「止めた方が良いよ。危ないよ」


そう言われたので、大丈夫だと言い切った。

こういうのは根拠が無くても自信満々で話すのが大事なんだ。


近くで酒を飲んでいた村の人にも化け物に関して聞いたが、いつごろから居るのかはハッキリしない。


一番古い話ではこの国ができるより昔から。一番新しいとするものでも、曾祖父の代から。


要はずいぶんと前からあって、ずっと山から離れていないらしい。


話を聞いた血気盛んな奴らが、財宝を守っていると決めつけて山に入って行った事もあるそうだ。でも帰ってきた事はない。


化け物が居るせいでその山には質の良い木が無数に生えているけれど、切り取る事はできないらしい。


あれが売れれば、畑仕事をしなくても良くなるのにと口をこぼしていた。


だが山の斜面は急である事は遠目に見てもわかるので、交通に使おうとする者もおらず、とくに生活するには問題ないらしい。


黒い話としては死罪に利用される事もあるそうだ。罪人を山に入れて、おしまいというわけだ。

ウーム、恐ろしい話だな。


馬車を借り受けられる日にちには余裕がある。明日一日、情報を集めよう。


結局、化け物の姿がどんなのかはその場にいた者は誰も知らなかった。


少なくとも、どんな形なのかを知らなければ、化け物かどうかも判断できないからな。


まさか襲われるかどうかで判断するわけにも行かないだろう。


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