未知との遭遇(14)
3018年 7月13日
海でのリベンジをかけて、釣りをする。岩場から糸を垂らす。
釣り竿はアンリエードに借りた。地球ではオーソドックスなレジャーの一つだ。
だが管理されたそれとは違い、なにが釣れるかはわからない。
割と簡単に釣れた。小さいが、食べられない事は無い。
この星の魚はちょっと不気味だ。人間の様な遺伝子のミラクルは起きないらしい。味は総じて鶏肉に近い。
海辺の貝の雰囲気は地球のものに近かった。
シンプルな構造のものだと味も似やすいのかもしれない。だとすると人間が似ているのは脅威的だ。
しかし、端末で調べたところ収斂進化という考えが存在するらしい。
似た環境で成長した生物は同じようなデザインになると言う説だ。
自然的な進化においては、そうなる例も少なくない。
この星の環境がそこまで地球に近いという事なのかもしれない。
インテリジェント・デザイン説というのもあった。神様を模したデザインだから似るのだと言う説らしい。
面白いのが一緒に資料として出てきた空飛ぶスパゲティー教だ。二十世紀の人にも愉快な人は居たらしい。
俺が生きてた時代でも神様の有無は定義されてなかった。
治安活動の対象になるのは宗教関連のデモも多かった。そんな関係で俺はあんまり宗教に対して良い思い出がない。
孤児院も宗教関係じゃなかったし……あそこがもし宗教関係の孤児院だったら、神様を信じていたんだろうかなどと思う。
この星では宗教はまだ勢いがあるように感じる。科学が万能ではないのだ。
文明が発達していないとそう言うのは勢いがあるのだろうか?
つらつらと考え事をしながら釣りをしていた。結構大漁で、これだけ釣れればあの絶食生活も楽しかったに違いない。