未知との遭遇(3)
3018年 7月2日
俺は注意して、片言の言葉を使いながら女性にお礼を言った。
女性の名前はアンリエードと言うらしい。
二日前、海岸で俺が倒れているのを散歩中に発見して、家に連れて帰ったそうだ。
なぜ今までしゃべらなかったのかと聞かれたので、ずいぶん小さなころにこの土地を離れて以来なので、言葉を思い出すのに手間取ったと誤魔化した。
嵐の日に船から落ちて、漂流していたことも誤魔化しながら伝えた。
船から落ちて漂流していたのは本当だ。
宇宙から落ちてきた事を話すとややこしいので言わなかった。
加えて、どうやら彼女は俺を子供として認識しているようだ。
確かに俺はちびで、童顔で、髭もろくに生えない。昨日の引き出した情報から読み取るにどうやらこの星の人間は女性でも平均身長が二メートルを超すのが当たり前らしい。
そうなると俺の身長は格段に低い事になる。アンリエードの胸の高さくらいしかない。
彼女の身長が特別大きくない事を考えても、比較されると確かに確かに子供と言えるかもしれない。
しかし、この星に関しては不慣れなことしかないだろう。知識の無い子供で通しておいた方が問題は少ないかもしれない。と言うわけで、ベタだが記憶喪失のふりをした。
体はずいぶんと回復した。ナノマシンも栄養があればそれを効率よく回してくれる。
回復もずっと早い。俺の倒れていたという海岸に行くと、救命用のバルーンは海岸にそのままあった。
陸地に引き上げ、持って行ってなかった道具をすべて回収する。
バルーン自体も何かに使えるかもと、海岸の茂みの中に隠しておいた。
念のために端末を操作して、アンリエードの俺を保護したい気持ちを高めておく。
恩人の彼女に、甘えるような形になるのは良くないが……この恩は後で纏めて返そう。
操作のおかげか記憶が戻るまで、家に居ていいと彼女は言ってくれた。
本当に申し訳ないが、居候として仮住まいさせていただこう。