未知との遭遇(1)
3018年 6月30日
起きると陸地にたどりついていた。
外まで這い出たが、体が言う事を聞かず気を失った。
気がつくと、天井があった。
見知らぬ女性が現れて、おかゆを食わせてくれた。
そのおいしさと言ったら、信じられないほどだ。
うますぎて息をするのも忘れて食った。
ほかにパンみたいなのと、スープのようなものを食った。どれも激烈にうまかった。
助けてくれた女性はでかかった。立ったときの感じからすると二メートル以上は軽くあっただろう。
そして言葉が通じない。当たり前だ。と言うか、人の形をしているのが驚きだった。彼女は宇宙人……この星の人なのだろうか?
年のくらいは感覚だが三十半ば。
白人系の顔をした青みがかった髪の長い柔らかい印象の人だった。
寝ていなさいと態度で示され、俺は大人しく寝た。女性は現地生物だと思う。雌雄はあるかは不明。
部屋の内装を見る限り建築レベルは低くない。
彼女の着ていた服装や寝かされている部屋から察するに一五世紀無いし、一七世紀くらいの文化レベルは保有しているらしい。
しかし地球人とは体格がまるで違う。
バランスという意味では地球人と差は感じられなかったが、すべてのスケールが単純にデカイ。
これはあの女性特有のものかもしれない。けれど知的生命体には違いない。
緊急セットの中のナノマシンアンプルがあれば、彼女の脳から情報を取り出せるが、緊急セットはどこに行ったか。
しかし今は動けない体力が落ちている。彼女がいい人である事を祈ろう。
だがあれが最後の晩餐であっても良い。そう思えるくらい美味しかった。