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漂流(21)
3018年 6月27日
漂流二十一日目。
精神的に弱ってきているのを自覚する。油断をすると小指を血が出るまで噛んでいる。
血の味がうまいと感じる。
塩味以外の味が恋しく成ってきているのだろう。自制がうまく効かない、
弱ってきている。冷静に分析することで、心を守ろうとしている自分が自覚できる。
そしてひたすら昔の事を思い出す。孤児院のころの自分が横にいるような気がする。
あの孤児院の院長は死ぬまで太っていたのだろうか? 結構な金を振り込んだはずだ。
宇宙に出る前の当時はまだ営業……と言うかどうかは知らないが、運営中だったのだから院長は死んでなかったと思うが。
孤児なんて、一歩外に出りゃ、普通のガキにそりゃ虐められたもんだ。だからしょっちゅう喧嘩していた。
孤児院の札付きの問題児だ。
院長にはずいぶん迷惑をかけたと思う。
こうしてこうなっているのも、当時から何も考えてなかったツケなのかもしれない。
地球での罪で、この星で罰せられているなら神様は一緒なのかもしれない。
だったらこの星でも天国か地獄は地球と同じところに行けるんだろうか?