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漂流(17)
3018年 6月23日
自分の書いた遺言を読んだら、なんか笑えてきた。自分が死ぬことがあるのか。
思えば孤児院に捨てられて、必要とされているのか判らない人生だった。
血のつながった家族と呼べる人も居ない。
自分に関わったすべての人は地球に置いてきた。
この時間、この瞬間に俺を覚えてくれている人間は宇宙のどこを探してもどこにも居ない。
いや……お舟とアカ子は違う。
あいつ等は俺を知ってる。
俺に取っては短い、あいつ等に取っては長い付き合いだ。
もう普通よりずっと長い時間を過ごしている。
友人でもないし、部下でもない。
仲間と言うのだろうか? でも俺は何もしなかった。
ああ、あいつ等は家族と呼んでも良かったかもしれない。
お舟が家長で、アカ子がオカンで、俺が役立たずのみそっかすだ。
孤独だ。さびしい。