アクサン・シルコンフレスク
ところでエドガー君、君はアクサンシルコンフレスクというものをご存知かね。
そう言い出したのは禿げた頭に雑草のような毛を生やしたジジイだった。
いいえ先生、僕はそのようなものについて、聞いたことも習ったこともございません。
と切り替えしたのはクラスでもたいした成績ではない、いまいち冴えない少年である。
そうか、そうか。調べてレポートを出すがよい。君にはそういう宿題を出そう。さあ義務だ。あとは任せた。楽しみにしてるぞ。
咳払いをひとつ、そして雑草頭をボロい校舎へ吹きすさぶ風に揺らしながらどっかにいった。
アクサン・シルコンフレスク
^
通称:アクサン シルコンフレスク
以上
なんてレポートを出す阿呆、さすがにエドガーはそこまで阿呆ではなかった。
最近ジャパニメーションらしきものに没頭している自称「otaku」な友人←(仮称)から、操作するのが大っ嫌いなパソコンをうばt・・・借りた。
そこで早速インターネットを開く。どこで仕事しているかわかんない親父に聞いたらすんなり教えてくれた。昨日オフィスで開き方をようやく教わったらしい。
親父は早速今日見につけたばかりの文字入力術(自称:部署内最速)で、40分かけて調べ上げた。
それを、ずっとゲームやりながら見てた。
結果、^だった。もう一度言う、^←だった。
アクサンシルコンフレスク=^
エドガーはすぐさま理解した。
1 それは、^だと。
2 それは、乗数記号だと。
3 友達(仮称)は日本の顔文字で使うといっていた:-(
おいエドガー、どうだいお父さんの力は。どうやらあれは^←こういう記号らしい。
最近親父は毛の量が少し増えた。
それより風呂はいったら?お父さんずっとパソコンの前でひとりで夢中になってて皆もう寝にいっちゃったよ。
レポートを書きながら言う。
おっとそれはまずい。すぐ入ろう。
父は汗臭い(加齢臭?)シャツを脱ぎながらさっさと風呂へと向かった。
レポート:アクサン シルコンフレスク
これは^という記号名だとわかった。
これは本来乗数の前に用いるということがわかった。
でも僕はこれがそういうものに思えません。
友達が言ってました。これは日本では笑顔のマークで使うって。
(^_^)と、このように表記したりするそうですが、いくつもの通りがあると聞きます。
よって、アクサン シルコンフレスクは、皆の中で、そして僕の中では数学記号ではなく笑顔の象徴です。
一枚の紙切れが教諭の前に置かれている。
ここは自分のオフィス、つまり、職員室だ。
ふむ、中々新しいアイデアではないか。関心関心。
さて、と。
その担当のじいさんは個票を取り出した。
減点っと。
それは結局評価に響かなかったという。