6、同期会 情報 来訪者
先生と立ち合ってから数日が経った。
今週は祝日が2日ある。
今日は神帝の生誕祭であり、
3日後が建国記念日である。
僕ら同郷の4人は以前から、
生誕祭に来れる者は
集まろうと約束していた。
実は僕の休日は不定期だったが、
同郷の4人で集まるかもしれないと話すと、
ツヨ上等兵とサイ上等兵が
快く非番を譲ってくれた。
嬉しいことに、
約束の時間、約束の場所に4人全員が揃った。
結局その後、みんなで色々と買い出しをして、
アパートの僕の部屋で
ホームパーティーをすることになった。
僕らは、まずお互いの配属のことを報告し合った。
それぞれの配属先は、
僕は帝都警察部隊へ、
ミホは予定通り最高親衛隊に、
トシは一週間後に自由都市監察部隊として、
水の都ベネに赴任し、
テツが三日後の建国記念日に直轄軍として
国境の最前線に出陣することになっていた。
本当は正直なところ、
半年経った今も、
僕はまだアサのことを忘れられなかった。
僕は、テツに同じ訓練チームだった
彼女のことを聞こうかとすごく悩んだが
やっぱりやめておいた。
僕はもう失恋を乗り越えなければならない。
テツもアサのことは何も言わなかった。
「ミホ、
神帝の生誕祭の式典には
出席しなくていいの?」
僕は聞いた。
「神帝には騎士を賜わるまでは
お会いできないの。」
ミホは少し頬張って食べていた口元を
手で隠しながら答えた。
彼女の指先は長く綺麗で、
指先の爪まで綺麗に磨かれていた。
なぜだろう。
彼女のちょっと仕草も美しく感じてしまう。
ミホは、女性にしては背が高かった。
そして足がとても長い。
それは、座っていても斜めに揃えた
美しい足を見れば直ぐに分かる。
もちろん顔も小さく9頭身のスタイルだ。
長い髪も美しく輝いている。
整った彼女の顔を見ると、
やはり内心ドキドキしてしまう。
ミホは、この半年で、
元々の美しさが更に洗練され、
誰もが振り返るような、
ずば抜けた美しさを身に纏っていた。
情報通のトシが話始めた。
「北部地方の田舎出の俺たちには
知らないことも多い。
俺が調べた帝国の歴史や世界情勢を教えてやるぜ。
シンという青年が20才の時にアモの種を食べ、
体に88の数字が現れると、
その凄まじい能力で近隣の町々を守護した。
1年程で彼を慕う50人程の仲間が出来た。
そこで彼は自らに忠誠を誓う者に
アモの種を分け与える。
彼はその時生き残った四人を側近にして
再び兵を集い、僅か一年で国を起こし
自らを神帝と名乗った。
その後、その四人は建国の四勇者と言われ、
当人一代のみだが大公爵の地位が与えられた。
その地位は、後に傘下に下る他国の王族より高い。
それから50年の間に新帝は強国を次々と制し、
各国の原語や文化を融合しながら、
一代で大陸の7割を治める大帝国を築き上げた。
現在帝国の国境はヨン連邦国と
キリ聖共和国という
かつて大国と呼ばれた二国に接している。
大陸統一を狙う帝国にとって
目下最大の敵はヨン連邦国だ。
大陸で一番歴史が古く、
ロマ教を擁護しているキリ聖共和国とは、
アマの山の大天災の後に皇女を嫁がせて
同盟を結んでいる。
2つの隣国の先には、
小国のルセの国とロミの国があり、
大陸と少しの海を隔てたその先に島国、
ジパの国がある。
ジパの国は傭兵国で、
もともと交流のあったルセの国を通じて
少数精鋭のシラの戦士と呼ばれる傭兵を
ヨン連邦国に派遣している。
テツ、気をつけろよ。
多分ヨン連邦国にいるシラの戦士は、
俺らと同じ数字持ちだ。」
「任せとけ。
前線で真っ先に武勲をあげるのは、
この俺だ。」
体のデカいテツは力こぶを見せて笑った。
僕は公にされてない連続殺人鬼の話は
伏せていた。
トシを中心に僕らは色々な話をした。
でも一番みんなが驚いたのは、
ボソッと言ったトシの一言だった。
「数字持ちは子供ができにくい。」
「えーそうなのー?」
僕らは一斉に食い付いた。
「数字持ちの先輩方は殆ど子がいない。
だから数字持ちは、子を授かったら、
その子を溺愛するそうだ。」
ミホも、ちょっと神妙な顔をしていた。
トシは話を続けた。
「新帝も例外ではない。
新帝は後宮に5000人程の女性を囲っていたが、
子を成したのは、たった一人だけだった。
彼女は奇跡的に双子を産んだ。
それが今の皇太子と
キリ聖共和国に嫁いだアイ皇女だ。
しかし彼女は出産後程なくして亡くなられた。
新帝は悲しみに暮れ、
当時3年もの間、喪に服し進軍を辞めたそうだ。
俺たちが生まれる前後の頃の話しだ。」
それからも色々な話題で結構な時間、
僕らは、みんなで楽しく食べて飲んで、
そしてたくさんしゃべった。
楽しい時間はあっという間に過ぎた。
夜も深まり会も終わり、
みんなを玄関先まで見送った。
ミホはトシとテツが送って行くという。
彼女は、ゾロ目の最高親衛隊だし、
まあ、屈強なテツがいれば安全だろう。
一人で部屋を片付けていると
突然無性に寂しくなった。
多分、もう同郷のみんなで集まるのは
なかなか出来ないとわかっていたからだ。
これからはみんな、それぞれの道を歩くのだ。
「軍にいて生き残っていたら、
またみんな必ずどこかで会える。
帝国の未来のためお互い頑張ろうぜ!」
トシの言葉を、僕は噛み締めていた。
建国記念日の日、僕は仕事だった。
容疑者を張り込みしながら
見送り出来ないテツの無事を祈った。
建国記念日の次の日は、
僕は家に帰れた。
夜中に誰かが
僕のアパートの部屋の扉をノックする。
誰だろう?
扉を開けると‥
そこに‥
アサがいた。
「えっ?」
彼女はいつも突然現れる。
「いるかなーて思って。
ちょっといい?」
彼女は僕の返事も聞かずに上がり込んだ。
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