表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THE BLUE LOVE STORY -PROTOTYPE-  作者: 星河竜樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/9

4、連続殺人 サーティサタン 

「直轄軍に配属されなくても、

悲観しなくていいよ。

実はちょっとばかり、コネがあってね。

ある程度の数字持ちを

派遣してもらったのよ。」


帝都警察の部隊長は気さくに話し続けた。


「ほら、噂くらい聞いたことない?

みんなが怖がっちゃうから公にしてないけど、

何年も前から帝都で連続殺人が起こってるって。

あれ実は本当なんだよね。

それでもって、

やっぱり犯人を捕まえるのに、

ある程度能力のある者が必要なのよ。」


「私は、まだ一度も実践経験がありません。」

僕は緊張して答えた。


「大丈夫だよ。君の数字は6だって?

でも教官たちは実は9かもしれないって

噂してたみたい。

私は結構いい人材を手に入れたと思ってる。」


「ありがとうございます。

少佐殿の期待に応えられるよう頑張ります。」


「そんなに力まず気楽にね。

君はアモの種の試練を乗り越えて生き残った。

無理せず、まずは命を大切にしなさい。

大きな声では言えないけど、

成果を出していくら出世したって、

死んだら終わりだからね。


でも、帝都民を守るのが我らの仕事。

敵前逃亡は死刑よ。

もしも犯人と

生死を賭けて対決することになったら、

その時は覚悟を決めること。

君は必ず戦いに勝って、ちゃんと生き残るのよ。


さて、2階の奥が特別班。

そこに行きなさい。

班長はヒカ軍曹、彼も数字持ちよ。

まーいろいろと教えてもらいなさい。

そうそう、班長には酒を飲ませないようにね。」


部隊長は優しく笑った。

僕は特別班のところへ向かい挨拶をした。


「よく来たな。マサ兵長。

俺はヒカ。

こいつがツヨで、こいつがサイだ、よろしくな。」


僕を入れて4人が

連続殺人鬼を追う特別班のメンバーだった。

ツヨとサイは一般警察兵から選抜されており、

階級は上等兵だった。

警察兵の中では、

ツヨはとても足が速く、サイは力が強かった。


事件に関する資料を読みながら、

僕は班長に質問した。

「死体には、数字が刻まれているのですか?」


「ああ、犯人は自己顕示欲の強いヤツで、

とにかく身体の何処かに鋭い刃物で数字を刻む。

最新の数字は23。

つまり、そいつはもう23人も殺してる。」


「ここに‥

二人同時に殺しているとも記されていますが‥」


「ああ、その通りだ。

最近は二人同時に殺し続けてる。

それで手足を付け替えたり、

内臓を入れ替えたりして遊んでいやがる。

2日前には脳を入れ替えてた。

完全に狂ってるヤツだ。」


身体に悪寒が走る。

「数字持ちの近衛兵を

もっと増員した方が、

良いのではありませんか?」


「もうすぐ大きな戦争があるという噂だ。

人員を割けないのだろう。

特別班に数字持ちのお前を引っ張ってきたのも、

少佐殿はなかなか大変だったみたいだぞ。」


それから、驚くべき最重要容疑者の話を聞いた。

「もちろん監視は俺ら以外にも、

警察兵が8人体制で昼夜問わず見張っている。

だがヤツは神帝を支えた建国の四勇者の内の一人、

元提督の子息だ。

事情聴取や家宅捜査なんてできやしない。

直接犯行現場を押さえて

現行犯逮捕するしかない。

あの変態ヤロウは狡猾だ。

嘲笑うかのように俺たちの裏をかく。

歯がゆいばかりだ。」

その時、班長の左手が

微かに震えているのがわかった。


話がひと段落すると班長は言った。

「この前の検死結果が出ている。

これから俺は先生の所に行く。

お前も一緒に来い。

紹介してやる。」


僕らは帝都の南にある研究所に向かった。

一緒に歩きながら、

班長は先生について教えてくれた。


「先生は帝国の宝と呼ばれている優秀な医者だ。

彼女は薬学が主流の帝国で、

初めて外科術を大成させた。」


「彼女?」


「ああ、先生は女性だ。

そして33のゾロ目を持つ最高親衛隊の隊員で、

もちろん騎士でもある。

最高親衛隊は、持っている自分の数字とは別に、

序列によりナンバーが付く。

彼女のナンバーは4、つまり序列4位。

実は結構なお偉いさんだ。

今は主にアモの種と人体の関係について

研究している。


俺たちは、特殊な死体については、

特別に先生に検死解剖してもらっているんだ。」


僕はふと思い返して質問した。

「もしかして、先生は選択の日に

立ち合ったりしてますか?」


「もちろんだ‥

それから多分来年は、

お前も借り出されるだろうからら先に言っておく。

毎年その日、

一般兵と一緒に俺たち警察兵も総動員され、

選択に選ばれなかった者の

大量の死体を墓場まで運んでいる。


だが実は100体ほどは、

いったん訓練所の地下に運んで、

そこで彼女が検死解剖している。

それも死体が腐る前にと、

三日三晩眠らずぶっ通しでだ。

解剖を手伝う兵士達は彼女を恐れ、

陰で数字の33、サーティスリーをもじって

サーティサタンと呼んでいる。

なかには彼女は笑いながら解剖してるって

噂を流すクソ兵士もいる。」


「酷い事言いますね。」


「ああ、

サーティサタン、30の悪魔とは酷い通り名だ。

彼女は選択の日の闇の部分を一手に引き受けてる。

しかし、彼女がアモの種の謎を解明したら、

誰もが死なずに数字持ちになれる。

そして帝国は最強の大軍隊を持ち、

一気に大陸を統一できるだろう。

帝国は彼女を必要としている。

間違いなく彼女は帝国の宝で希望の星だ。」


研究所に到着すると、

門の前には一台の豪華な馬車が止まっていた。

僕はあの馬車を知っている。

ミホが訓練所から去る時に見送った馬車だ。

研究所の門番に挨拶し中に入ると、

屋敷の前に師団長が立ったいた。

師団長の側には顔立ちや背格好が全く同じ

二人の剣士が控えていた。


班長と僕は敬礼する。


「ヒカ、元気そうだな。」

師団長が班長に親しそうに話しかけた。


少し遅れて、先生が助手を連れて玄関から現れた。

「あら、ヒカ来てたの?」


班長と師団長と先生が三人一緒で、

とても親しそうに話しているのを見て、

僕は驚いた。


僕は班長の陰から、そっと先生の顔を見つめた。

やはりあの時の女医だった。

ショートヘアの彼女は、

相変わらず妖艶で眩しかった。


いったい彼女の色っぽさは、

身体のどこから湧いてくるのだろうか?

そんな事を考えてしまう自分を

恥ずかしく思った時、

僕は先生と目が合ってしまった。


「あっ、6の数字持ちの子ね。」

彼女は急に近づいてきて、僕の顔を覗き込んだ。

あの時と同じ、吸い込まれそうな美しい瞳だった。


お読みいただきありがとうございます。

今後の励みになりますので、

ブックマーク・評価・いいねなど

していただけると嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ