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THE BLUE LOVE STORY -PROTOTYPE-  作者: 星河竜樹


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2 、美しい朝 選択の日 選ばれし者 

「ベイビーちゃんができたかも、パパ。」

イタズラっぽく彼女は笑った。


「パパって‥

名前で呼んでくれよ。

僕の名前はマサ、真名はユキ。

マサ=ユキ、真名によってなす意味は

正しく行く者。」


「私はアサ、真名はミ。

アサ=ミ、真名によってなす意味は

美しい朝を招く者」


「アサ=ミ、とてもいい名前だね。」


帝国出身の者は、

極めて親しい人にしか真名は明かさない。

真名によってなす意味に、

神聖な神の力が宿っていると信じているからだ。


そして僕らは、

ほんの少しだけ窓を開け、

月明かりの中

お互いの顔を見ながら話をした。


「私、人生を変えたいと思ってここに来たの。」


衝撃だった。

彼女は弟を養うために、

体を売って生計を立てていた。

やっと弟が16になり独立してくれたので、

ここに来たそうだ。


「また明日ねマサ。

あっ、もう今日かも」


月が雲に隠れて辺りが暗くなると

彼女はそっと自分の部屋に戻って行った。


早朝、透き通った薄いブルーの空に

白い月が光っていた。

とても美しい朝だった。


ほどなくして軍医が、

上の階から選択の儀式を始めるという。

僕の部屋は一階だから、一番最後だろう。


‥その間、

僕は人生を変えたいと言っていた

二人の女性を思い返した。

答えはない。

選択の時間が訪れるのを

静かに待った。


入って来たのは、

ショートヘアの若くて妖艶な女医だった。

白衣の胸元がまぶしい。


トレイの上には、

小指の爪くらいの大きさの

アモの種が3つと、

コップ一杯の水が置いてあった。


「ひとつだけ選んで、噛まずに飲み込みなさい。」


女医は僕の口を開けさせ、

間違いなく飲み込んだことを確認してから、

ベッドに横になるよう指示した。


「すぐに効果は現れます。

1時間程したら、様子を見に来ます。」


外からカチッと

部屋に鍵を掛ける音が聞こえた。


深呼吸を1回したかもしれない。

僕はあっという間に意識を失っていた。


感覚的には

瞬きをしたくらいの時間だと思う。


「起きなさい。」

目の前に、あの女医がいた。


まだ少し朦朧としていたが、

自分が生き残ったことは直ぐに理解できた。


数字は身体のどこに

出現するかはわからない。

僕は上着を脱がされ

調べられると、

右の上腕に6の数字があった。


「6って‥‥」

彼女は向き合い、僕の顔を覗き込んだ。


「帝国50年の歴史で初めてよ。」

彼女は美しく、その瞳に吸い込まれそうになった。


「そんなに珍しいのですか?」


「ええ、6と9が付く数字は

今まで一度も現れてないわ。」


僕は大浴場に行った後に

食堂に行くよう指示された。

大浴場では今まで着ていた服は捨てられ、

新しい軍服一式が支給された。


体を洗うのもほどほどに、

僕は食堂に急いだ。


みんなは僕より上の階。

選択の儀式はもう終わっているはず。


食堂には、

ざっと100人位の選ばれし者がいた。


「マサー、こっちだ!。」

体格の良いテツが僕を見つけてくれた。

奇跡だ。

トシとミホもいる!


「みんな、無事で良かった。」

そう言った直後に僕は言葉を失った。

トシの額の中央に1の数字が現れていた。

命を賭けた代償が1。

1倍では能力の変化は無い。


一瞬固まっている僕に、

突然後ろから、

誰かが抱きついてきた。


「パパー!」


「パパじゃないよ、マサだよ。」

みんなポカンとしている。

僕はみんなにアサを紹介した。


「イチってかっこいいね。」

トシの額を見て、

屈託のない笑顔でアサが言った。


「そうだろ、

俺は帝国軍のトップになる運命の男だぜ!」

僕らは笑いあって飯をむさぼり食った。


みんなの数字を確認し合うと、

僕は6、

トシは1、

テツは8、

アサは7、

そしてミホの数字は11、ゾロ目だった!


生き残った者は総勢108名。

2と3の数字の者が半数、

4と5の数字が3割、

7と8の数字が2割だった。

1の数字はトシだけ。

10以上の数字もミホだけだ。


選ばれし者の僕らは、

まずニ階級特進で上級兵として

帝国軍の精鋭である

近衛師団に採用された。


そして3日後には、

1から3の数字の者はここに残り、

それ以外の者は、

レベルに合わせたグループごとに、

別々の訓練所に移動することが決まっていた。


僕は4と5のグループに入れられた。

7と8のグループのアサとは、

離れ離れになってしまう。

僕らは今晩、

また部屋で会う約束をした。


約束の時間をだいぶ過ぎて、

ノックの音が聞こえた。

扉を開けるとアサが立っている。

そこから部屋に入ろうとしない彼女の態度は、

明らかによそよそしかった。


「‥‥月のものが来たの。

‥‥今日は帰る。」

それだけ言うと、

彼女は一度も振り返らずに去ってしまった。


嫌な予感がする。

僕は直感的に彼女を失ったかもしれないと思った。


お読みいただきありがとうございます。

今後の励みになりますので、

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していただけると嬉しいです。


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