第三話 別れ
セキと出会ってから5年ほど経った。あれから、僕がおとりになって鬼を消耗し、セキがとどめを刺すという方法でお金を稼いできた。だいぶお金はたまって、そろそろ大物一体で終わらせて、家を借りてバイトでもいいかもしれない。どうしたらいいのかはまったくわからないが。
「にゃぁん、」
セキが起きてきた。
「どうした?セキ。腹減ったか。」
「にゃ。」
「ほら、大好きなツナ缶だ。」
「にゃぁ!!」
この生活が続くなら、一生山暮らしでも僕は幸せだ。だがどうやら最近、クマに襲われて家が丸ごと何軒か破壊され、一家全員殺される事案がたて続けに起こっているらしい。僕はこれを鬼の仕業だと踏んでいる。
「なあセキ、新聞に載ってるこのクマの事件、鬼だと思わないか?」
「にゃ!!」
「そうだよな。やっぱり鬼だよな。」
「今夜、行けるか?」
「にゃん。」
「よし、頼んだ。」
その日の夜僕たちは山を下りて鬼がいそうな場所をたくさん探して回った。結果、殺されている人がいて、血痕をたどると、とある場所についた。軍の訓練施設だ。案の定、そこに鬼はいた。
「あいつだセキ。いけるか。」
「にゃ、、にゃ、。」
「どうした。まさかお前、怖いのか?」
今まで見たことないセキの反応に、僕は久しぶりに恐怖を覚えた。このままでは二人一緒に死んでしまう。
「おい、大丈夫なのか?やばいなら帰ろう、無理することはない。」
次の瞬間、目の前に赤い拳が飛んできた。
「あ”、、、。セ、、セキ、、。おい”、。だいじょうぶか、?」
「グルルル、、。」
セキは喉を鳴らすだけでほとんど息をしていない。僕も今にも死にそうだ。こんなに痛いのは初めてだ。
鬼はどこかへ行ってしまった。殺されなくてよかったと思うべきなのだろうか。
ああ、ダメだ、意識が。
「セキ、、今までありがt
次の瞬間、なぜか意識が戻っている。
目の前は真っ白。
(ん、、?誰かいる?)
「カグラ。本当にありがとう。君が私を必要としてくれなければ、とっくに私は存在ごと消えていた。」
(誰だ?)
「私はセキだよ。君の友達のセキだ。」
(!?)
「とりあえず話を聞いてほしい。私は元々神なのだ。かつては鍛冶を司る神として君臨し、最強格であった。だが時代が変わるごとに鍛冶という仕事は人と疎遠になり、誰も求めなくなった。神とは崇拝され、欲されるもの。存在の根源、私でいう鍛冶が忘れていかれれば、私の存在はなくなる。もう猫の姿でしか現れることができなくなっていた私は、神としての存在ではなくなってしまうところだった。まあ、現世で殺されてしまった今、結局神ではなくなるがな。君には死んでほしくないと、そう思っている。実は、神と鬼は存在理由が違うだけで、同じ種類の存在なんだ。私は神としての掟を破り、鬼に成り下がろうと思う。今の人格は消え、もはや君の中に溶け込んでしまう。私の意志すべてを注いで、君を蘇生する。君の元には私の鬼としての新たな力が宿るだろう。一つ助言をしておく。もう一度言うが、神と鬼は同一存在だ。この知識は必ず役に立つ。今までありがとう、君の人生に幸あれ。」
俺は、不意にも生き返り、ある意味第二の人生を迎えた。セキという唯一の友達との別れを引き金に。
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