さっそく依頼をうけてみた
冒険者登録を済ませたブレッドは、依頼掲示板へと向かった。
「えっと、Eランクの依頼は...」
掲示板には様々な依頼が貼られている。
モンスター討伐や護衛に採取、配達。
その中から、ブレッドは一枚の依頼書を手に取った。
【依頼内容】
薬草「ヒールハーブ」の採取
場所:ハーゼルの森・入口付近
報酬:銀貨3枚
ランク:E
「これなら、材料も一緒に集められそう!」
ブレッドは依頼書を受付に持っていく。
「この依頼を受けたいのですが」
「かしこまりました。ハーゼルの森は危険な場所ですので、気をつけてくださいね」
受付嬢が心配そうに言う。
この受付嬢は、ブレッドの試験のことも黒龍のことも知らない。
ただの新人冒険者だと思っているのだろう。
「はい! ありがとうございます!」
ブレッドが依頼書を受け取ろうとしたその時。
「あの、ブレッドさん!」
ステラが駆け寄ってきた。
「ステラさん?」
「その依頼、私も一緒に行っていいですか?」
「え?」
ブレッドは首を傾げる。
「ステラさんはCランク冒険者ですよね? Eランクの依頼なんて」
「いえ、その...ブレッドさんの強さの秘密が知りたくて。」
「一緒に行動すれば、何かわかるかもしれないかなって」
森でキングベアーを一蹴りで倒し、試験でガトスを一撃で倒したブレッド。
その強さの理由を、ステラは知りたかった。
「本当ですか!? 嬉しいです!」
ブレッドの顔がぱっと明るくなった。
「それじゃあ、一緒に行きましょう!」
「はい!」
こうして、ブレッドの初クエストは、ステラと二人で向かうことになった。
◇◇◇
ハジマーリ王国の門を出て。
「ハーゼルの森まで、どのくらいかかりますか?」
ブレッドが尋ねる。
「そうですね...普通に歩けば半日くらいでしょうか」
「半日...」
ブレッドは少し考え込んだ。
「それだと、お店を休みにした意味があまりないですね」
「え?」
「せっかくなので、材料探しの時間も欲しいんです。移動時間を短縮できれば...」
「移動時間を短縮...?」
「はい!」
ブレッドはステラの前にしゃがみ込んだ。
「おんぶしていきますね!」
「え!? お、おんぶ!?」
ステラが驚いて声を上げる。
「はい! その方が早く着きますから!」
「で、でも...」
「遠慮しないでください! じゃあ、背中に乗ってくださいね」
「あ、あの...」
ステラは戸惑いながらも、ブレッドの背中に乗った。
「それじゃあ、行きますよ!」
次の瞬間。
ブレッドの足が地面を蹴った。
「ひゃあああああ!?」
ステラの悲鳴が風に消える。
ブレッドは信じられない速度で駆け抜けていく。
木々が、風景が、すべてが後ろへ流れていく。
「ブ、ブレッドさん! は、速すぎます!」
「大丈夫ですか? じゃあもう少しゆっくり走りますね」
速度が少し落ちた。
だが、それでも普通の人間が走る速度の何倍も速い。
ステラは必死にブレッドにしがみついた。
数分後
「着きましたよ!」
ブレッドが足を止める。
「え...? もう...?」
ステラが周囲を見回すと、目の前にはハーゼルの森が広がっていた。
「半日かかるって...」
「ここからが本番ですね!」
ブレッドは元気いっぱいに森へ入っていく。
◇◇◇
ハーゼルの森・入口。
「ヒールハーブは、入口付近に生えているはずです」
ステラが剣を抜く。
「はい!」
ブレッドも警戒しながら森に入る。
「あ、ありました!」
すぐに、白い花をつけた薬草を発見した。
「これがヒールハーブですね」
ステラが確認する。
「それじゃあ、採取しますね」
ブレッドは丁寧に薬草を摘み取り、袋に入れた。
「これで依頼達成ですね!」
「はい! 思ったより簡単でした」
ブレッドは嬉しそうに笑う。
「それじゃあ、戻りましょうか」
ステラが言ったその時。
「あれ...?」
ブレッドが足を止めた。
「どうしたんですか?」
「あっちの方に...何か...」
ブレッドは森の奥を見つめている。
ブレッドは首を傾げた。
「すごく良い匂いがするんです」
「匂い...?」
ステラには何も感じない。
「果物の匂いというか...甘い匂いというか...」
ブレッドは真剣な表情で奥を見つめている。
「ちょっとだけ、見に行ってもいいですか?」
「え、ちょっと...」
ステラが止める間もなく。
スッ
ブレッドの姿が消えた。
「え!? ブレッドさん!?」
ステラが慌てて周囲を見回す。
「こっちです! ステラさん!」
森の奥から、ブレッドの声が聞こえた。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
ステラは慌ててブレッドの後を追いかける。
ブレッドは木々の間を軽やかに進んでいく。
ステラは必死に追いかけるが、どんどん距離が開いていく。
「待ってください!」
息を切らせながら、ステラは奥へ、奥へと進む。
そして。
「...え?」
ステラは目の前の光景に言葉を失った。
森の奥に、突然開けた場所が現れた。
そこには、見たこともない美しい果樹が並んでいる。
色とりどりの果物が実っている。
そして。
「「「こんにちは」」」
緑色の髪をした、小さな少女たちが立っていた。
見た目は10歳くらい。
頭には花が咲いている。
「え?」
ステラは信じられないという表情で呟いた。
「もしかして、ドライアド?」




