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幻の皇帝とアフメト皇子

「トプカプ宮殿の中にこんな場所があったけ?」

アフメト皇子はキョロキョロしながら、迷い込んだ場所で立ち往生していた。


「…皇子、アフメト皇子」

身なりのとても良い老人が話しかけた。


「え、あの…」

「大丈夫、そなたの事は良く知っている…美しい皇子の母も」

優しい瞳をした老人


「此処は金のカフェス…まあ、アフメト皇子が来る処ではないな」

「……」


「こちらへ…アフメト皇子」

いつの間にか、部屋の中にアフメト皇子と老人はいた。

「甘いロクムにナツメヤシの菓子」

「バクラヴァ(パイ生地とナッツの菓子)、ムハッレビ(ミルクプリン)もある」


「さあ、遠慮せずに一緒に食べよう」「はい」


「皇子、私は…」

「兄が…セリム三世の父親が亡くなり、弟の私が即位した」


「金のカフェスに私は

44年間にわたって宮廷に幽閉されていた」


「優しく、優れた母達のお陰で

他の閉じ込められ狂った皇子のようにならずに


…母達のお陰でな

芸術、書を嗜み暮らしていた…静かな穏やかな生活だった…平和な日々に穏やかな人達」


「外の世界は知らなかった…知ってから

街を散策して楽しんだよ」


「政務の仕事…戦争、外交は任せきりになったが…せめて、アッラーの教えに従い、街の水場を整えたり、学校(マドラス)

貧しい者達に食糧を与えたつもりた」


「兄のようには出来なかったが、喜んで慕ってくれた者達もいた…」


「あの…貴方は一体?」


老人は微笑した。


「アブデュルハミト1世…そなたの父親だ」


「え?」アフメト皇子の視覚が暗転する


……そして、それから


「アフメト皇子様、中庭でうたた寝されてましたの?」母のナクシデイルがそっと起こす


「夢見てたみたい」「皇子様?」

「何でもないです」アフメト皇子は笑った。


◇ ◇ ◇

兄のムスタファ3世の崩御に伴い、49歳で即位しました。父のアフメト3世が失脚した後、即位するまで44年間にわたって宮廷に幽閉されていました


基本的に平和主義者で

軍事に頼るよりも穏健な解決を望んでいたとされ


人柄: 勤勉で思いやりがあり、信心深い性格で知られる


帝国を立て直すため、軍の改革などを試みましたが、対外的な敗戦が相次いだため、抜本的な成果を上げるには至らず


文化事業では

イスタンブールで噴水やマドラサ(学校)、図書館などの建築


一般の人々や商人の問題に耳を傾けるために、イスタンブールの様々な地区へ頻繁に足を運んだとの伝承が遺されてます


第一次露土戦争(1768年 - 1774年)


即位直後に敗北を確定させ

クリム・ハン国がロシアの勢力圏に入り、1783年にはロシアに併合


*オスマン・ペルシャ戦争: 治世中にザンド朝ペルシャにイラクのバスラを一時占領されるなど、東方でも苦戦

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