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皇帝と母后の願い

「貴方には息子が必要よ」母后は言う


雨の中、トプカプ宮殿の奥 ラーレン(チューリップ)の花に薔薇が咲いていた

その部屋

黄金に美しいタイルに包まれた部屋で二人は一見、和やかに会話をしている


「ああ、コーヒーに甘いお菓子 西洋から取り寄せたお菓子なのだけど」

「母上に喜んで頂き 私は嬉しいですよ」


「これで孫が出来たならもっと嬉しいわ うふふ」



「母上」 「私の皇帝陛下さま 早く私に孫を抱かせて欲しいわ」


困り顔で若き皇帝セリム三世は自分の母親の顔を見る


それはにこやかな笑顔を見せながら

母親はまだ苦情を言う

「ご多忙なのはわかるわ でも、ナクシデイル(エーメ)に幼い弟でもある

アファメトに会う暇はあるようだけど」


「もう一人の弟ムスタファ皇子にも気を配っているとも聞いたけれどね 

あのムスタファの母親には気をつけないと」


「・・・・・」

「貴方の政策でね

地方の長官であるアーヤン達だけでなく神学者たちも私に苦情が来るわ」


「母上」

「金の髪に青い瞳を美しいナクシデルエーメが欲しいのかしら?

それは無理な注文なのだけど」


「・・・・・・」

「貴方は皇帝 

いくらでもどんな綺麗な完璧な寵姫は手に入る」


「まあ、いいわ コーヒーのお代わりはいかが?」

大事な息子である皇帝セリム三世に母后は微笑む





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