雨降りの庭園…戸惑いと甘い薔薇水
エーメことナクシデイルは急な雨が降る庭園の東屋にとり残されてしまう。
「どうしましょう‥楽器と語学の勉強があるのですけど
此処から宮殿の方は遠いわ」彼女の呟くように漏れる言葉
結い上げいた金の髪が濡れて、波打つ髪が零れおちていた。
ため息一つ
そこに・・
「あ、セレム皇太子さま」「・・偶然、通りかかったよ ナクシデイル」
セレムは微笑して 濡れたエーメの髪を労るように手持ちのハンカチで拭く
互いの身体がすぐ傍にあって、呼吸の音あえ聞こえて‥
「本当に 君は綺麗だ」セレム
「え?」エーメことナクシデイル
「今日は勉学?」「はい」
「行こう、傘もある 私の召使に遅れると伝えよう
花も綺麗だから・・少しだけ散策しないか」
何処か切なそうな表情をするセレム皇太子
◇ ◇ ◇
エーメは戸惑っていた‥。
自分はトプカプ宮殿に連れて来られた 攫われた奴隷
生き延びる為にも 皇帝の夜伽をして 子供を産む。
金の髪と青い瞳は庭園を眺めながら ふと思うのだった。
例えフランス貴族だろうと
この時代には普通は恋愛結婚は許されない場合も多い
家や財産の為にどんな相手が運命の相手となるか‥
街でのコーランの詠唱が響き渡って その後で
一日、五回のイスラム式礼拝の後での事。
皆で楽しむ庭園での東屋 そこでのちょっとした茶会
「蜂蜜入りの薔薇水を飲む?お菓子のロクムもある それともコーヒーかチャイも」「はい、皇子さま 薔薇水を頂いてもいいですか?ありがとうございます」
優しい青年、異国の若い青年でもある。
エーメの相手はやや年が離れていた そう‥
控え目な性格のエーメには 抗う事などは‥




