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閑話:セレノス裏通りの赤い灯火

 セレノスの昼下がり。

 攻略の合間をのんびり過ごすため、トーチの面々はそれぞれ別行動を取っていた。


 冒険者酒場『ルーイン・ゴート』のホールに残っているのは、ケンタとログ爺だけ。


 石造りの暖炉の上では、黒山羊のゴーちゃんがマフィンを大事そうに抱え、ちょこんと腰を下ろしてもしゃもしゃとかじっていた。

 その脇には、ウェディングドレスを着たカエルの置物が場違いに並んでいる。


「……やっと思い出した。前に“どこかで見た”って引っかかってたけど――デーモン君だ」

 ケンタが指先で小さな三つ又を描くように動かす。

「バストン大学グローバル分校、略してBUG。そこで作られたUnix系のOSのマスコットがデーモン君。ゴーちゃん、あれに酷似してる」


 ログ爺は目を細め、にやりと口角を上げた。

「ふむ……偶然というより、開発スタッフが“わざと入れた”と考える方が自然じゃの」


「だよな。となると、そのスタッフが使える環境――つまりEOFの基盤にBUG Unixがあった可能性は高い」

 ケンタは満足げに頷く。

「インフラの仕様が分かれば、狙えるバグの幅もぐっと広がる。限定されるミドルウェア、ログのローテーション、常駐するデーモンの組合せ……全部ヒントになる」


「まったく、地図を一枚手に入れたようなもんじゃ」

 ログ爺も肩を揺らし、嬉しそうに相槌を打つ。


 二人は視線を合わせ、同時ににやり。

 その笑みはどこか胡散臭いほど息が合っていた。


「ふふ……これでバグ探しがはかどるな」

「ぬしも悪よのう」

「いやいや、お互いさまだろ」


 二人の含み笑いが、静かな酒場にじわりと広がっていった。


* * *


 その頃、結は子どもたちを連れて、セレノスの街角にある渋澤弓具店を訪れていた。

 木の香りが漂う落ち着いた店内は、まるで別世界のような静けさに包まれている。


 結は弓を台の上に置き、職人らしい痩身の店主・渋澤に軽く頭を下げた。

「お願いします。ちょっと出木ぎみになってきちゃって……」

「……預かる」

 言葉少なに応じた渋澤は、すぐに弓を手に取り、真剣な眼差しで弓の反りを見極めはじめる。


 店に来ていた子どもたち――アキラ、ハルト、ナツキ、そしてセレネ――には茶と和菓子が振る舞われていた。

 店主が煎茶を最後の一滴まで丁寧に注ぎ、皿に並べられたのは小ぶりの最中。


「お、おお……!」

 セレネが両手で最中を持ち、ぱくりと一口。

 皮の香ばしさと、なめらかな餡の甘さが広がった瞬間、青い瞳を潤ませて感嘆の声をあげる。

「こ、これは……! 甘い……! 外は軽やかで、中はとろけるのね……! 神々の糧みたいなのよね!?」


 子どもたちは顔を見合わせて笑いながらも、それぞれの反応を見せる。


「皮がパリってしてて美味しい!」

「ぼく、アンコきら〜い」

「もっと食べたい〜!」


 結は苦笑しながらも子どもたちを見守っていたが、次の瞬間、別の方向から質問攻めに遭っていた。

 弓具がずらりと並ぶ棚に興味津々の四人が、あちこち指差して声を上げるのだ。


「ねぇ、この弓、なんでこんなに長いの?」

「もつとこが、まん中じゃないのはどうして?」

「こっちのは……なんかいっぱいついてる!なにこれ!?」


 結は口ごもり、必死に説明を試みる。

「え、えっと……長いのは、矢をもっと遠くに飛ばすためで……持つところが下にあるのは、ほら、バランスとか……いや、違うな、えっと……」


 指差された端の方の弓――金属製のパーツや複雑な装置が取り付けられた洋弓――については、結も言葉に詰まってしまった。

「あ、あれは……なんか……すごいやつ……」


 子どもたちの視線が集まり、結は汗を浮かべて視線を泳がせる。

 そこへ、静かな声が割って入った。


「……諸説あるが……和弓は長さで威力と安定を得る。握りを下げるのは、馬上で取り回し易くするため。あれは洋弓、コンパウンドというタイプで滑車で軽く引ける。うちは弓ならなんでも扱う……」

 弓を手にしたまま、渋澤が短く、しかし的確に答えてくれる。


「へぇー!すごい!」

「うまのるの?結ねえちゃんものる?」

「よーきゅーっておもそう」


 子どもたちが口々に歓声を上げると、結はほっと息をつき、渋澤に小声で礼を言った。

「……助かりました」

「……仕事だから」


 そう答えた店主は、再び真剣な眼差しを弓に戻すのだった。


* * *


 渋澤に弓を預けた結と子どもたちは、その足で市場通りへ向かった。

 昼下がりの通りは活気にあふれ、香ばしい匂いや威勢のいい呼び声が入り混じっている。

 仔犬のコムギも、ちょこちょこと小走りでついてくる。ときおり鼻をひくひくさせては尻尾を揺らし、子どもたちの足元を忙しく回っていた。


「見て! おだんご!」

「こっちはりんごあめだ!」

「うわぁ、イカ焼いてる!」

「……いい匂いなのよね!」


 露店の列に目を奪われ、四人はあっちへこっちへ。結は袖をつかまれたり引っ張られたりしながら、転ばないよう気を配って歩く。


 そんなとき、向こうから見覚えのある顔が手を振ってきた。コーサクだ。

「おや、ちょうど良かった。こないだは世話になったな。お礼と言っちゃなんだが……腹は減ってるだろ?」

 彼は焼き台の親父に指を立て、焼きたての串を数本まとめて受け取ると、子どもたちに差し出した。


「わー! やきとり!」

「ぼく、おネギきら〜い」

「アツ……アチッ! でも、おいしー!」

「……天上の甘辛いタレなのよね!」


 口いっぱいにほおばる子どもたちの横で、コムギが前足を揃えてお座りする。じっと串先を見つめ、しっぽだけが忙しく動いていた。結は苦笑しながら、端をちょこんとちぎって冷まし、ほんの少しだけ与える。


「この前は、助かりました」

 結が頭を下げてから、ふと思い出したように口を開いた。

「そういえば……あの数字を埋めていく遊び、ナンプレでしたっけ。おかげで待ち時間もなんとか過ごせました」


「おお、やってみたか!」

 コーサクの顔がぱっと明るくなる。

「バグセルに隠れてるアレな。難しいのもあるけど、簡単なのも出るだろ? 子どもでも遊べるんだ」


「はい。ほんと助かりました」

 結は子どもたちを横目に、素直に頷いた。


 そこへ、人波の向こうから背の高いヒゲの男が近づいてくる。モジャールだった。

「おお、ナッキーではないか」

 大きな手をぶんぶん振りながら駆け寄ってきて、焼きたてのベビーカステラが詰まった紙袋を掲げる。

「ちょうど買ったところだ。ほれ、ナッキー。お前に食べてもらいたかったんじゃ」


「いいの!? ありがとう!」

 ナツキが笑顔で袋を受け取ると、モジャールはその場で目尻を下げ、にやけを隠そうともしない。

「……ふふっ、その笑顔を見るために買ったんだ。はぁ……可愛いのぉ」


「甘い匂い!」

「ふわふわ〜!」

「……きいろい雲みたい!」

「……小さな丸い奇跡なのよね!」


 他の子どもたちが口々に歓声を上げる中、モジャールはナツキの頭をそっと撫でながら、うっとりと呟く。

「ナッキーが食べると……ただのお菓子も特別に見えるのぉ」


 結は苦笑して肩をすくめ、コムギは羨ましそうに鼻を鳴らした。


 そこへ、さらに新しい影が現れる。

 ベビーカステラを頬張る子どもたちの前に立ったのは、人間姿に変身したタクヤだった。理想値補完のバグで、誰もが振り返るほどの美形に見える。


「おっ、ベビーカステラじゃねぇか」

 ひょいと紙袋を覗き込みながら、にやりと笑う。

「ってことは……あるんだろ? たこ焼き器!」


「……たこ焼き?」

 モジャールが怪訝そうに顔をしかめる。

「聞いたことも食べたこともないぞ。まさか『クラーゴン』でも丸焼きにするつもりか……?」

 想像してしまったらしく、露骨に渋い顔をした。


「違ぇよ! そんな魔獣バーベキューじゃねぇ!」

 タクヤが両手を振って否定する。

「たこ焼き器があるのに、たこ焼きがねぇなんてありえねぇだろ!?」


 その瞬間、彼の目がぎらりと光った。

「よし……決まりだ! 絶対作ってやるからな!」


「──あら、また妙なことを言い出しましたわね」

 子どもたちの後ろから、澄ました声が重なった。現れたのは、カグヤに扮したカグラだった。


「ラーメンの次は、今度は……たこ焼き、とやら? 食への執念、まこと……立派でございますの」

 一拍置き、微かに唇を尖らせる。

「……わたくしも、少々興味はございますけれど」


「うるせぇ! これは浪漫なんだよ、浪漫!」

 タクヤが胸を張ると、子どもたちは「ろまん!?」「ろまんってなに?」と首をかしげる。


「まったく……貴方という方は、どこまでも庶民的で……ございますの。けれど……その、もし出来上がるのなら一つ……いただいてもよろしいですわ」


 子どもたちはきょとんとしたままベビーカステラを頬張り、結は「また始まった……」と額に手を当てるのだった。


* * *


 ざわめく市場通りを、ずっしりとした紙袋を抱えた大柄な獣人が歩いてきた。タテガミを風に揺らす、獣人族のまとめ役――獅子のラオである。

 その後ろには、やけに細身の人間の青年がひょろひょろと付いてきていた。顔立ちは不思議なほど特徴がなく、のっぺりとしている。


「ラオ殿、その袋……お野菜ばかりでございますの? ライオンでいらして、肉は召し上がらぬのでして?」

 カグヤが小首をかしげて問いかける。


「肉ばかりでは身が重くなる。野菜は腸を整え、血を清める。戦場で踏ん張れるのは、そういう積み重ねだ」

 ラオは静かに言い放ち、紙袋を抱え直した。


「まあ……なんと、立派な草食の獅子でございますこと」


 そんなやりとりの横で、タクヤが声を張る。

「なあラオ、この市場でタコって売ってねぇのか? たこ焼きにはタコが必須なんだよ!」


「……タコか。残念だが、ここで見たことはないな」

 ラオは即答する。


 横からコーサクが補足した。

「イカならある。イカ焼きはこうして丸焼きにするからな。あれは『クラーケン』じゃなく、スルメイカだな」


「ふむ……勉強になるのぉ」

 ラオがうなずくと、コーサクも笑って応じた。

「今度、一杯どうです? 獣人族の話、いろいろ聞かせてくださいよ」

「いいだろう。肴は野菜でも構わんか?」

「ハハ、もちろん」

 オッサン同士の笑い声が、子どもたちの歓声に混じって響いた。


 しかし肝心のタクヤは、頭を抱えていた。

「……ってことは、タコが実装されてねぇ……?」


 誰も答えない。沈黙が肯定に変わる。


「じゃあ……クラーゴン流用しかねぇのかよ」

 タクヤの顔が青ざめる。

「クラーゴンは海上レイド対象……大型船が何隻も必要で、パーティも山ほど……」


 想像するだけで背筋が寒くなり、彼はその場に崩れ落ちそうになった。

「マジかよ……今度こそ、途方に暮れるぜ……」


 結はため息をつき、カグヤは扇子で口元を隠して笑みを整え、子どもたちは「クラーゴンたこ焼き!?」と騒ぎ立てていた。


* * *


 すると、ラオと一緒にいたのっぺり顔の青年が、おずおずと手を挙げた。

「タコはいないけど……裏通りの居酒屋で、タコわさは食べたことありますよ」


「――居酒屋!?」

 カグヤの碧眼がぱっと見開かれる。

「連れて行きなさい! 今すぐ! 可及的速やかに!」

 いつになく食い気味に迫るその声に、周囲が一瞬凍り付いた。


「タコいないのにタコわさはあんのかよ……」

 タクヤは苦笑しながら後頭部をかいた。


 結が小さく肩をすくめ、子どもたちは「タコわさ!?」「なにそれ!?」「食べたい〜!」と大合唱。コムギまで「くぅん」と鳴いて足踏みする始末だ。


「……では、参りましょうか」

 青年が少し困ったように笑い、ラオが頷いた。


 一行はセレノスの市場の喧噪を離れ、裏通りへと足を向ける。人通りが減り、石畳の影が長く落ちる一角。そこに赤提灯がぽつりと灯り、暖簾が風に揺れていた。


 ――居酒屋『ボツ八』。


 古びた木戸の隙間から漂う香りは、確かにセレノスの市場では嗅いだことのないものだった。


 木戸をくぐると、そこは薄暗い灯りに照らされた赤提灯の世界だった。

 油が染みこんだカウンターと、畳が少し軋む小さな小上がり。店を切り盛りしているのは、白い鉢巻を締めた大将ただひとりだ。


「おう、いらっしゃい。空いてるとこ座んな」

 ぶっきらぼうな声に促され、一行は小上がりに腰を落ち着けた。


 壁に貼られた品書きを見て、タクヤの目が釘付けになる。

「……あった! タコブツもある!!」

 思わず立ち上がり、両手で卓を叩く。

「これで、これでたこ焼きが……!」


 タクヤが感涙にむせびそうになる横で、他の面々はすっかり酒宴の空気に流されていた。


「おぉ、渋いじゃないか。やっぱ赤提灯は落ち着くのぉ」

「ラオ殿、肴はやはり枝豆に限りますな!」

「いやいや、大根おろしこそ……」


 カグラは扇子を手に、しとやかに笑いながら会話に混じっている。だが時折「ですわ」「ございますの」と怪しい言い回しを挟み、おっさんたちを逆に楽しませていた。


「姫さん、酒いける口か?」

「まあ……たしなむ程度でございますの」

「ほぉ〜、やるなぁ!」


「カニクリームコロッケ……!?」

 その一角で、結がメニューに食いついていた。

「すみません、それお願いします! ぜったい美味しいやつでしょ、これ!」


 ほどなく運ばれてきた皿を前に、結は両手を合わせてぱくり。

「アツッ!? とろ〜っ! うわ、なにこれクリーミー! カリッのあとにドロッでホワ〜って広がる!!」

 擬音まみれの感想に、子どもたちがきゃっきゃと笑い声を上げる。


 子どもたちはといえば、ポテトや唐揚げの山に夢中だった。

「ポテト!あつあつだ!」

「からあげ!おっきいー!」

「……しょっぱいのも、なかなか神々しいのよね!」

 コムギもそのたびにしっぽを振って催促する。


 タクヤが独り「タコブツ」を前に拳を握りしめているのに、誰も気に留めてはいなかった。


「おいおい……俺だけかよ、真面目に食材探してんの……」

 ため息混じりに呟く声は、にぎやかな笑いと盃の音にかき消されていった。


* * *


 盃が進み、笑い声が絶えぬ『ボツ八』の小上がり。

 串焼きに唐揚げ、ポテトにコロッケ。子どもも大人もご機嫌で、すっかり酒宴の渦に呑み込まれていた。


 その中で、ひとりタクヤだけが落ち着かなかった。

「……やっぱ、これじゃ終われねぇ……」

 低く呟くと、席を蹴るように立ち上がる。

「ちょっと行ってくる!」


 仲間たちが怪訝な顔をする間もなく、タクヤは赤提灯を飛び出して市場へ駆け出していった。


 ――しばし後。


「待たせたな!」

 汗だくで戻ってきたタクヤの腕には、丸い窪みが並んだ鉄板が抱えられていた。

「市場で見つけたんだ、ベビーカステラ用……いや、たこ焼き器だ!」


 驚く一同をよそに、タクヤは厨房に飛び込み、鉄板を据え付ける。油を流し、生地を落とし、タコブツを仕込む。


 じゅわぁぁぁっ――!

 熱気とともに香ばしい匂いが広がり、酒宴のざわめきが一瞬にしてそちらへ吸い寄せられた。


「おおーっ!」

「丸い……回ってる!」

「すごいすごい!」


 竹串を操り、タクヤは器用に生地をくるりと返す。黄金色に焼き上がった玉が、皿へと盛られていった。


「よし、完成だ! 〆はこれだ、みんな食え!」


 アツアツのたこ焼きが次々と頬張られる。

「……あちっ!? でもウマッ!」

「外カリッ、中とろ〜っ!」

「ポテトより好きー!」


「う、うぐっ……あづっ……!」

 猫舌のラオは口の中で転がしながら苦戦している。


「ふふ……仕方ないですわね……フーフーして差し上げますわ……ふぅぅ……」

 酔いの回ったカグヤが、妙に艶めいた吐息で冷ます姿に、おっさんたちが一斉にむせた。


 ――そのとき。

 ラオの隣に座っていた、のっぺり顔の青年がぐらりと揺れ、輪郭がみるみる変わった。

 次の瞬間、そこにいたのはとがった耳と牙を備えた狼の獣人だった。


「ジ、ジンさん!?」「なんで人間の姿してたんだよ!?」

 一同がどよめく。


 ジンは耳をぴくりと動かし、肩をすくめてぼやいた。

「……二、三日に一度くらい、月が二つとも見えなくなんだよ。そういう時だけ、人間の姿になっちまうんだ」


 すると誰かがぼそりと漏らす。

「……ほんとか? 狼も猫舌なんだろ? フーフーしてもらいたかったんじゃねぇのか?」


「そ、それだ!」「怪しいぞ〜!」

 酔っ払いのおっさんたちと子どもたちが一斉に冷やかし、場は爆笑の渦に包まれた。


「ち、ちげぇよ!」

 ジンは耳まで真っ赤にしてたこ焼きを頬張り、必死に否定するのだった。


 爆笑の渦がしばらく続き、ようやく小上がりの空気が落ち着いてくる。


 ……丸いたこ焼きの上で、鰹節が静かに踊っていた。


 そこで、腕を組んで黙って見ていた大将が口を開く。

「……こりゃあすげぇ。こんな肴、見たこともねぇ。ぜひうちの定番にさせてもらいてぇ!」


 歓声と拍手が赤提灯を満たす。

 こうしてセレノスに、新たな名物『たこ焼き』が誕生したのであった。


* * *


 そのころ『ルーイン・ゴート』の暖炉の上。


 ゴーちゃんの隣にあったカエルの置物は消え──

 代わりに、鉢巻を締めたタコの人形がちょこんと座っていた。


* * *


 ──火星の衛星・フォボス、観測室。


監視者D 「『たこ焼き』ってそんなに旨いんですか?」


(沈黙)


監視者C 「魂や」

監視者D 「え?」


監視者Cが激しく明滅する。

監視者C 「『たこ焼き』はワテらの魂の味なんじゃ!」


監視者A「タコ未実装を開発室(ダイモス)に通達」

監視者B「要求定義のチケットを発行します」

監視者D 「……Aさんも食べてみたいんすね」


(おわり)


――閑話:セレノス裏通りの赤い灯火あとがき


最後まで読んでくれてありがとな。

次回、『マジチー』本編第三十話は来週火曜日のお昼頃に投稿予定らしいぜ。

『トーチ』の連中と俺たちが、あの吸血鬼の城に挑むらしいぞ。

続きも読んでくれると嬉しい。


もしちょっとでも楽しめたんなら、ブクマやポイントだけでも入れてやってくれ。あの作者、すぐ調子に乗るからよ。


……で、みんな勘違いしてたけど、言っとくぞ。

本当に狼も猫舌なんだ! マジで!

だから熱々のたこ焼きはキツいんだって!

わざと変身したわけじゃねぇからな!?


じゃ、また次回な。

――ジン

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