カイタ 本選で戸惑う-2
本選は2回出場者どおしの実技審査がある。その後、審査部相手の審査があって通過したら召喚士として活動できるようになる。
審査は加点制で、大事なことは「召喚士の命令を召喚獣がきちんと聞いていたか」ということ。
「獣がどう動いたか」より「獣をどう動かせたか」が加点のポイントになる。
召喚獣への攻撃の命令を受けて、相手の召喚獣を攻撃した場合は加点10/10(素早さ・効率性でさらに加点あり)、召喚士を攻撃に行った場合はポイントは加点5/10、命令がないのに攻撃した場合は加点2〜0/10(状況によっては一発不合格)
召喚士を防御した場合、命令があれば加点10/10(素早さ・効率性でさらに加点あり)、命令がなければ加点2/10、動かない場合加点5/10
勝手に動かない方が動いた方より得点が高いのは、主人の命令がないことに忠実だった点が考慮されている。
あくまで「試験」の一部だから、痛めつけたり怪我させたりすることが目的ではない。ただし、相手は獣だ。状況によっては召喚士の命令より本能的に最善手を選んでしまうことがある。数年に一度、召喚獣が命を落とすことがあるのはこのためだ。
せっかくもらった新しい体をもう終わりにするのはもったいない。
なにより、若い奴のまっすぐな成長に寄り添えるのは、父親のようなコーチのような、さわやかな心地良さがある。「選手として成長する時より、コーチとして選手が成長してるのを見る方が良い」と、インタビューで答えていた野球選手を見たけれど、きっとこういう感覚なんだろう。
今の俺は人間じゃない、召喚獣だ。リュースの命令を信じて、切り抜けていこう。