リュース、本選に進む-1
召喚士法
(召喚士の使命)
第一条
召喚士は、公共の福祉のために使役する生物(食品食物基本法第四条に定める飼料または食品若しくは食物に該当するもの及び財産法第十条の五に定める財産に該当するものを除く)の召喚を掌ることによって、社会機能の向上及び増進に寄与し、もつて国民の良好な生活を確保するものとする。
(召喚士の資格)
第二条
次の各号の一に該当するものは、召喚士の資格を有する。
一召喚士試験に合格した者
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「電報でーす。」
窓から電報を受け取ると、クチビロペガサスに乗った配達人はまた別の方向へ進んで行った。
「ありがとうございます。」
電報のペガサスはさすが翼の初速が違う。配達人の鞄がブレないところを見ると、いい調教師がついているのだろう。
差出人は鳥獣生物省召喚士局登録課、急いで封を切る。
リュース ルドゥーテ 殿
貴殿は本年度召喚士試験第二次審査召喚獣予選の部を通過した事を通知する。
本選日時
25/立秋 受付開始8:30 審査開始9:00
会場
ニーダーセント 召喚獣管理署
詳細は受験要項を参照すること
召喚獣の予選に不安はなかった。カイタはズイジュウだし、分別がある。予選の受付で他の子に喧嘩を売られても、距離を置いていた。無駄に力を使わない賢さは、長い目で見た時に力を発揮する、と言われたけど、今ならよくわかる。
獣と近い召喚士は召喚獣がいないと仕事にならない。獣と相手する召喚士は、獣の事故に巻き込まれる危険が高い。どんなにいい防具より獣ほど優れた手段はない。「獣には獣を」。召喚獣は頼れるパートナーだ。そのために、召喚獣からも頼られるパートナーに、召喚士がまずならなければならない。カイタを選んだ時から何度も言い聞かせている。
「大丈夫、本選行けるよ。一緒に泊まれる宿取らないとね。」
足元でコチラを見ていたカイタに話しかけた。カイタのしっぽが左右に2・3回揺れた。カイタに皮の銅輪をつけ、リードを腰につけた。
「行こう、カイタまる」