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リュース 本選で緊張する-2
入ってきたのは背の高い女性だった。肩の防具に2頭の斥候鷹が止まっている。全体的にゆったりとした透け感のある緑のワンピースと口周りの覆い。私の地方では見ない服装だ。
右肩の方が少し小振りで地味な色合いなので雌雄のペアなのかもしれない。雌は廊下の方を見つめているが、雄の方は私の足元のカイタを警戒しているようで、静かに足踏みしている。
静かに扉を閉めた彼女は扉近くの壁の前で止まったた。コンと彼女が舌打ちすると二頭は肩の上でしゃがんだ。
雌は首を肩に埋め目を閉じた。雄はカイタを見つめている。賢くよく訓練されている。
また扉がひらく。今度はおじさんが入って来た。足元にはヒラヒラとした硬い襟をつけた豚が1頭。なんとなくおじさんに雰囲気が似ている。
やっぱり飼い慣らされた獣は雰囲気が違う。雰囲気がどこか柔和に感じる。
あの雪の日に見た獣とは違う。
遠くで雷の音がする。あの日もそんな感じだった。
朝はよく晴れていたのに急に雷が鳴り出した。




