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恋文  作者: yukko
7/20

あと3日

娘が来てくれる日を、まるでお正月を待っていた子どもの頃のように指折り数えて待っている私。

息子も居るけれども、娘の方が頼みやすい。

息子の嫁とも、娘の婿とも出来るだけ会わないようにしている。

なさぬ仲だから、出来る限り離れているつもりだ。

姑のようになりたいと思っている。

結婚の挨拶に夫の実家を訪問した時、姑は「嫁として苦労したから、出来るかぎり嫁とは離れていたい。」と言った。

そして、有言実行したのだ。

会わないでいると「嫌だと思うこと」が少なくなる。

姑が言っていた通りだった。

私は姑にも舅にも嫌だと思うことが少なく過ごせた。

姑を見習いたいと思った。

実行する努力をしているところだ。

実子に頼る、といっても現実には娘に頼っている。

息子は頼りにくい。何故だろうか? 分からない。


夫のノートPCに残っていたのは、子ども達の幼い頃の写真が多かった。

次に多かったのは、孫の写真だった。

そして、一つだけ「新しいファイル」という名前のファイルがあった。


「何だろう?」

「もしかして、誰かの写真? それとも………。」


怖いと思いながら開けて見た。


「これっ…………。私………。」


中にあったのは、夫と私が若い頃に撮った写真だった。

デートで行った先で撮った写真たちが入っていた。

若い夫の笑顔を見た。

久し振りに見た夫の笑顔だった。

どの写真も夫は笑顔だ。


「お父さん、いつ? いつ、パソコンに入れたの?

 こんなに、いっぱい……写真撮ってたのね。

 若いわ。私たち………。」


写真はそのままをパソコンに取り入れただけだったようで色褪せていた。

その年月の経過が分かるほどに色褪せていた。


「よく考えたら、こんなに直ぐに入れるんだものね。

 お父さん、家族の誰に見られても良かったのよね。」


あの菓子箱は……やはり娘に見て貰おう。読んで貰おう。

そう、それがいい。


そう思いながら、ノートPCの中の若い私たち夫婦の写真を眺めていた。

娘が来てくれるまで、あと3日。

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