墓参り
色々、考えて文書にした。
これを息子夫婦と娘夫婦に渡す。
土曜日に来て貰うことにした。
息子夫婦も娘夫婦も来てくれるとのこと……安堵した。
まだ50代、と言われそうだけれども、早いに越したことは無いと思う。
少し不安なのが息子の嫁・綾、彼女がどのようなことを言うのか分からない。
それが少し不安だ。
土曜日までに私はお墓参りをした。
先祖代々のお墓。
ここには、舅も姑も、そして恋文の大内晴臣も入っている。
そういえば、舅から聞いたことがある。
大内晴臣の話を……。
「兄さんは優しくて、よく本を読んでくれたんだ。
僕は大好きだった。
戦死したと聞いても僕は分かっていなかった。
戦死した兄さんの持ち物が返って来てから、親父は着たんだ。
軍服の中にあった冬用の服を……
あれは、なんていう服なんだろう。外套とか言ったけ?
正式名称は分からないけど、着てたんだ。
親父は兄さんが身に着けていた物を着てた。
親になってから、その想いが分かったよ。
今は、大切に仕舞ってあるけどね。
兄さんに買って貰った品、鉛筆とか筆箱とか…もう無いんだよ。
残しておきたかった、な。」
そういえば、軍服が家にある。
あれは、舅も姑も亡くなってから、夫が持ち帰っていた。
仏壇の隣の箪笥の中に入っている。
お寺に着いて、住職さんに挨拶してからお墓へ向かった。
手を合わせて話しかけた。
「お義父さん、お義母さん、晴臣さん、それから、あなた……
私もそちらにいずれ行きます。
その前に息子たちに伝えたいことを纏めました。
晴臣さんの愛子さんへのお手紙、勝手に読ませていただきました。
ごめんなさい。
素敵な想いが一杯込められたお手紙を読ませて頂いて、私、決めたんです。
自分の最期までのことを決めたいと……
残された子ども達へのお願いも……
あなた、あなたが急に逝くから、本当に困ったのよ。色々と………。
恨みつらみは私がそっちに逝ってから言いますから、ちゃんと聞いてよね。
残りの日々、最期まで頑張って生きます。
どうか、私と子ども達を見守ってください。」
さぁ、子ども達へ渡そう。
私の願いを、私の想いを……そして託そう。