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恋文  作者: yukko
10/20

介護

息子・晴貴がやって来るのは困ると思っている私。

晴貴の妻・綾と折り合いが悪いからだ。

何が原因か分からない。

あまり会わないようにしていたのに、夫の葬儀の時に言われてしまったのだ。


「これから、お義母さんも大変だと思いますが、晴貴に頼らないでくださいね。

 度々、呼びだされると困ります。

 これからも、今まで通りにお願いします。

 何かあっても連絡しないでくださいね。

 介護などしませんので、私はしませんからね。

 私は私の親の介護をしますから……。」

「分かったわ。連絡しないようにしますから……。」

「お願いします。お義母さん、今のご自分の言葉、忘れないでくださいね。」

「忘れないわ。安心して。」

「分かりました。」


介護は実子がすることだと私も思っていた。

凄く良く分かるのだ。

私は舅、姑の介護をしたことはない。

役所への手続きなどは手伝ったが、実際に介護したのは夫とその兄弟だった。

嫁はあくまでも手伝いだった。

それを願ったのは姑だった。


「今は、子どもが少ない。

 少ないから、嫁というだけで介護だと私の頃より負担が大きいわ。

 だって、義理の両親だけでなく、自分の両親の介護も担わなくてはいけなくなる

 かもしれないでしょう。

 昔は8人兄弟とか居て、私たち夫婦もお互いに兄弟が多かったから……

 誰かは介護の経験をせずに済んで、長男の嫁だけ貧乏くじを引いたのよ。

 だから、自分の親の介護はしなくても良かったわ。

 でもね、介護は嫁の仕事じゃないわ。

 だから、私とお父さんの介護は、私が産んだ子ども達だけでしてください。

 お願いよ。私は私と同じ苦労を嫁だというだけでさせたくないのよ。

 それをさせたら、私を虐めた姑と同じになってしまうわ。

 お願いね。私のたった一つの願いだと受け取って!」


姑の言葉を受け取った夫は兄弟と介護をすると決めてくれた。

だから、私は市役所やケアマネージャーとの連絡に徹していた。

そう出来たのは姑のお陰である。

だから、嫁に何かして欲しいと願ったことは一度も無い。

それなのに……

連絡をしないでくれと言われてしまったのだ。

だから、あの菓子箱の手紙で晴貴に連絡したくなかった。

困る。困るのだ。

このことが晴貴の妻・綾の気持ちを逆撫でしないか、不安だ。


あの菓子箱を恨めしそうに見てしまう。


「ねぇ、お父さん、どうしてこんな物、残したのよ。」


亡き夫に恨み言の一つ……出てしまった。

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