モイラ編03-01『ステータス確認』
いよいよアリストロメリアA級ダンジョンの攻略に向かうというその日の早朝、コリンナ師からの手紙を携えたバティムが転移してきた。
前回の手紙ではコリンナ師は魔法書店を処分した後は楽隠居を決め込んでいた。
ならばということで是非とも彼女の持つ叡知を師事したい旨を伝えたのだが。
バティムが齎した手紙はその返事が書いてあるはずだが、さて。
伊織は手紙を読み進め、眉を顰めた。
彼女には娘の残した孫娘が居るらしく、その孫娘が金銭目的の暴漢に襲われて全治一週間程度の怪我を負ったそうだ。
しかもコリンナ師には脅迫状紛いのものが届いており、曰く、魔法書店を売却して得た金銭を恐喝するという内容のものだった。
「どこの世界にも屑はいるものだな。」
さてどうしたものかと考えていると、バティムが声を上げた。
「差し支えなければ臣にお任せ頂けませんかな?」
「ほう、お前一人で、いや、僕のデーモンが使えるか。」
「左様で御座います。」
「いいだろう、お前から委譲された悪魔の指揮権を預ける。好きに使え。
最優先は二人の警護だ。指一本触れさせる事は許さん。
その上で徹底的に調べ上げて一人残らず全滅させよ。できるか?」
「造作もございません。臣にお任せを。」
「完璧に成功させた暁には褒美を与える。何がいい?」
そのようなものを全く期待していなかったバティムは思わず絶句した。
「・・・では、魔界の者を配下に加える許可を賜りたく。」
「そんな事でいいのか?」
「勿論で御座います。パイモンとベリトに負けてはおれませんから。」
成る程、競争を煽れば効果的かもしれん、などと悪魔に対しては相変わらず冷徹な伊織だった。
そしてこれが悪魔に対する最適な対応であるという事実が悲しみを誘う。
「だが、配下を増やすことは特段禁止していないし、意味はあるのか?」
「両者とも主様の許可なく余計な真似はしますまい。」
何が主の逆鱗に触れるのかわからないのだ。
そのような地雷原を歩くほどあの二人も馬鹿ではないだろうとバティムは評価していた。
「いいだろう。任務完遂の暁には正式に魔界の者を配下とする許可を与える。励め。」
「はっ!必ずやご期待に沿う結果をお持ちします。それでは御前、失礼致します。」
そう言い残し、バティムは静かに転移した。
朝食後、全員を前にして伊織は宣言した。
「今日からアリストロメリアA級ダンジョンを攻略する。参加者はこのまま残ってくれ。
他の者は覚から指示が出ていると思うが、質問のある者はいるか?」
特に声が上がらず、B級冒険者パーティ『百鬼夜行』の6名が場に残った。
「今日は無理せず様子見ということで日帰りだ。B2Fへの階段を発見できたら時間と相談して進退を決めよう。
レミィ、ダンジョン内では君の調子はどうだ?」
「特別な仕掛けがない限り、マスターとの同期が切れることはないでしょう。
また、マスターのいるフロア内程度であれば全方向に索敵可能です。
メメ様やサト様がいれば必要も薄いとは思いますが、今後夜営が必要になった際には私をご活用下さい。」
「それは重畳。
まずは全員のステータスを共有する。筆記具を配布するから、全員記入してくれ。」
「「「ステータスオープン」」」
皆でで黙々とステータスを書き写し、全員でしっかりと確認した。
各々が出来る事と出来ない事を把握するのはパーティの生命線とも言える作業だ。
ここに手抜きは許されない。
(★は変更箇所)
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種族:妖人
名前:夜行伊織 16歳
レベル:43★ EXP:(1631/2304)★
特殊スキル:『百鬼夜行』レベル5
異能:『Ex妖ホイホイ』『Ex完全再現』『指揮者』
『Ex超越体』『マナコントローラー』★
『基本七属性適正』★『空間属性適正』★『マナ変換の才』★
『妖術適性』『結界術の才』『符術適性』
『無詠唱』『降神術適正』★
『精霊視』 『立体視』
祝福:『♛♨☏♡♫の寵愛(幸運100)』
『月読命の加護(知性20)』★
『火之迦具土神の祝福(筋力5)』★
『天照大御神の守護(全能20)』★
『宇迦之御魂神祝福(幸運5)』★
『菊理媛神の祝福(幸運5)』★
『伏姫神の恩寵(幸運40)』★
『坂東の虎の祝福(体力5)』★『飛梅の加護(知性20)』★『讃岐院の祝福(精神5)』★
『ノルンの祝福(知能5)』
『聖水精の祝福(知能2)』★
称号:『ゴブリンの天敵(腕力1)』
『異神の信仰者(精神5)』★『神の威を借る者(腕力5知性5)』★『神々の興味(全能5)』★
『根源接続者(知能40)』★
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『妖招聘』(10/10)
火車 『六焔号』牛車の九十九神
村雨 『村雨』 刀の九十九神
百々目鬼 『メメ』鬼族
覚 『サト』陰妖族
倉ぼっこ 『クラ』倉の九十九神
一本だたら 『タラ』陽妖族
豆狸 『タヌ』古狸族
鈴鹿御前 『スズ』鬼族
舞首 『マイ』陰妖族
天狐 『タマ』妖狐族
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『妖牧場』(753/1057)
聖水精(0/1)
霊猪(65/65)
エインヘルヤル(猫獣人)(37/37)
犬塚信乃(1/1)
バティム(0/1) 中級悪魔(0/100) 下級悪魔(0/200)
パイモン(0/1) 中級悪魔(200/200) 下級悪魔(400/400)
ベリト(0/1) 中級悪魔(50/50)
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夜行伊織 レベル補正 43%
素質値 補正値 合計値 基礎値
『筋力』 016 026 042 060
『体力』 022 025 042 060
『知性』 038 117 155 221
『精神』 050 035 085 121
『器用』 022 025 047 067
『敏捷』 016 025 041 058
『幸運』 003 175 178 254
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「祝福が随分と賑やかになったな。」
「そのせいで基礎値が偉いことになっておるのじゃ。60で人外とかいう話であったろ?」
「特に知性、精神、幸運が飛び抜けているが、特に幸運になった実感はないな。」
「宝くじを買ってみるのじゃ。」
「あるのか?」
「ございません、マイマスター。」
「残念なのじゃ。」
「では、ここではダンジョンで必要になりそうな能力だけ説明しよう。時間も限られるし、他は後日だな。」
伊織は自身の能力ついて淡々と説明すると皆キラキラした目で伊織を見ていた。
だがサトだけは宝くじを主催すれば荒稼ぎができるのではないかと冷静に思考していた。
「うん?どうした?」
「神様に注目されるなんてさすがはマイマイの主様!」
「主様は、メメの、主様、ね?」
「ほらほら、一緒一緒。仲良く半分こしよ。」
「いえ、三等分ですね。」
「四等分。」
「え?妾だけ仲間外れ嫌なのじゃ。よくわからんが五等分にせよ。」
「ホラーだな。」
伊織は自身の五体を仲良く分け合う妖達の姿を想像した。
「さて、次はメメだな。」
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種族:百々目鬼・鬼族
名前:メメ 436歳(6歳)
レベル:89 EXP:6,139/1,310,720)★
特殊スキル:『宣告者の瞳』レベル9
異能:『百眼』『Ex共喰(眼)』『白眼』『瞳の女王』
『光適正』『精神異常無効』
祝福:なし
称号:『目玉コレクター』
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百々目鬼 レベル補正 89%
素質値 補正値 合計値 基礎値
『筋力』 005 000 005 009
『体力』 010 000 010 018
『知性』 018 000 018 034
『精神』 040 000 040 075
『器用』 006 000 006 011
『敏捷』 011 000 011 020
『幸運』 013 000 013 024
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「なんかこう、異能の字面を見ただけでゾワゾワするのじゃ。」
「わかりみ。メメは怖いね。マイマイは絶対に相手したくないよ。」
「不意打ち貰ったら死。」
「具体的な状態異常の効果は『睡眠』『麻痺』『猛毒』『恐怖』『緊縛』『停止』だ。
メメの課題は状態異常の効果を追加することと、聖属性魔法の習得だな。」
「うん、魔眼、邪眼、ちょうだい、ね?」
どうやらメメは神聖魔法には興味が無さそうだ。
「次はサトだな。」
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種族:陰妖族
名前:覚 467歳(6歳)
レベル:31 EXP:(228/448)
特殊スキル:『完全空間解析』レベル4
異能:『第六感』『看破』『高速思考』『交渉』『闇適正』
祝福:なし
称号:なし
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覚 レベル補正 31%
素質値 補正値 合計値 基礎値
『筋力』 010 000 010 013
『体力』 012 000 012 015
『知性』 028 000 028 036
『精神』 022 000 022 028
『器用』 016 000 016 020
『敏捷』 016 000 016 020
『幸運』 010 000 010 013
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「ダンジョン内の索敵に頼もしいのじゃ。」
「不意打ちされないだけでも生存率が変わるだろねー。」
「あとは自衛手段があれば言うことはないな。まあ、万一はぐれるような事があっても俺が招聘すればいんだが。」
「招聘できない状況も想定すべき。」
「確かにタマの言う通りだな。
レミィ。サトには土、闇、無、呪術に適正があるはずだがアドバイスはないか?」
「イエス、マイマスター。
まずは直接的な攻撃手段が必要と考えます。
よって土属性を鍛えるべきでしょう。
闇と呪術は効果が発生するまでの時間差がありますので、自衛に向くとは言えません。」
「なるほど、的確だな。サトはそれでいいか?」
「はい。それと、空いた時間にスズに近接戦闘を鍛えて貰う予定です。」
「それは大丈夫なのか?くれぐれも無理はしないようにな。」
「承知しました。」
「では、次は村雨だな。」
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種族:幼刀・九十九神
名前:村雨 307歳(8歳)
レベル:35 EXP:(737/768)
特殊スキル:『玉散叢雨』レベル4
異能:『自己修復』『刀の申し子』『水の才』『氷の才』『破魔適正』
『八房招聘』『製薬直感』
祝福:『伏姫神の祝福』
称号:『人族キラー』
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村雨 レベル補正 35%
素質値 補正値 合計値 基礎値
『筋力』 016 000 016 021
『体力』 015 000 015 020
『知性』 008 000 008 010
『精神』 005 000 005 006
『器用』 028 000 028 032
『敏捷』 032 000 032 037
『幸運』 021 005 026 035
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「精神6(笑)。」
「幼女並み?あ、でも幼刀か。」
「マイマイもタマも何じゃ、二人して!その流れは前もやったのじゃ!」
「さて、村雨の魔法適正は水、光、無、あと何故か神聖だ。」
「これは聖刀に進化する兆しに違いないのじゃ。」
「宝刀だった名残?」
「そだね。マイマイもタマに一票。」
「誰か突っ込むのじゃ。弄られないのもそれはそれで寂しいのじゃ。」
「そこは幼刀(笑)。」
「なでなで。」
「まあ、村雨にあれこれ言うのもな。元気に育ってくれればそれでいい。」
「なんか投げ遣りなのじゃ!」
「魔法の練習するか?」
「それとこれとは話が違うのじゃ。」
「どう考えても同じだろう。」
これにはさすがに全員が頷いている。
「さて、次はいよいよ新人だな。」
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ちゃむだよ? >_(:3」∠)_
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