モイラ編02-08『領都へ 1日目 伊織 vs 村雨』
朝になり宿をチェックアウトした。
ギルドマスターが言うには領都まで馬車の足で5日ほどかかるという。
概ね250~300kmと考えるとなかなかの距離だ。
だが、火車ならば2~3日もあれば余裕をもって走破可能だろう。
道が整備されていればもっと早いかもしれない。
水や食料が売っている店はそこらにあるので皆で適当に購入しつつ門へと向かった。
倉ぼっこが現世から持ってきてくれた荷物の中に調理器具一式が入っていたのは有難い。
道中はまともな食事に期待できそうだ。
例の門番はいなかった。
どうやら非番なのだろう。
世話になったのもあり挨拶したかったが、やむ無く伝言に留めた。
『商取引許可証(甲種四級)』が一行の身分を証明してくれたこともあり、町を出るのが想像以上にすんなりといったことは嬉しい誤算だった。
「さて、火車。
他の馬車に迷惑をかけない程度でなら好きに走って構わない。
ここ数日でストレスが溜まっているだろうし、存分に走れ。」
「オレサマ ヤルゼ ヤッテヤルゼ」
伊織の想像通り、火車はかかり気味だった。
飛ぶように過ぎる景色を眺めながら伊織は想像を膨らませていた。
領都、ドラゴン、ダンジョン、魔法。
幻想的ともいえるこの世界は光輝いて見えた。
「うん?光?」
「マイマスター、進路外で人族の冒険者と魔物が交戦中です。」
「状況は?」
「人族優勢ですが怪我人がいるようです。」
「そうか。救助要請がないなら無視して構わない。」
「イエス、マイマスター。」
「助けにいかんのか?」
「そのつもりは無いが、村雨は助けたいのか?」
「いや、妾も別にどっちでも構わんのじゃ。」
「介入への線引きは人によるだろうがな。」
怪我人と聞くと飛んでいって救助をする善良な人もいるだろう。
だが伊織は身内に対しては甲斐甲斐しくお節介を焼く所があるが、身内と他人の線引きは明確であり、他人に対しては塩対応であることが多い。
まして冒険者などという自己責任でしかない者が相手であれば推して知るべしといった所であろう。
「そんなことより昨日教わった魔法制御がなかなか楽しくてな。」
伊織と向かい合わせに座る村雨との間には赤、青、黄などの色取り取りの『玉』が浮遊している。
魔法書店の老婆に教わった魔法操作の鍛練を早速試していたのだ。
赤い玉の周囲にはご丁寧に『真空結界』まで貼ってある。
一応、事故を警戒しているのだろう。
そんな伊織の玉を青い玉が頼りなさげにふらふらと追いかける。
「ぐぬぬ、妾はこれ、苦手じゃ。」
「慣れだ。あれだけ上手く『妖術』を使いこなしてるんだから間違いない。
他のことをやりながらこれが出来るようになると色々と捗りそうだな。流石に苦労しそうではあるが。」
そんな村雨の様子を、伊織の膝の間に座った伏姫がニコニコと笑顔で眺めている。
「想像が足りてないの。」
「想像?」
「こんな玉でもちゃんと飛ぶって認識するなの。」
「むぅ、そのつもりなんじゃがのう。」
「試しに形を変えるの。『蛟』にするの。」
「やってみるのじゃ。」
丸かった青い玉が小さな蛇へと姿を変えた。
「めんこい蛇じゃの。」
「妖術の『蛟』を想像しながら動かすの。」
「こうかの?おおっ?」
「ツメテェ」
「あはは、ゆっくりするの。」
蛇は急速に発進し、壁に当たってしまった。
それに驚いた火車の声が遠くから聞こえる。
「う、うむ。うむうむ。これはいいのじゃ。」
「慣れてきたらまた玉でやるの。」
「えー。」
「練習とは克服することなの。」
ナナはそんな和やかな二人の様子をほっこりとした気分で眺めている。
ゴブリンの集落から助けられて以来、一度も怖いことはない。
いや、足枷を外してもらう際は怖かったが。
あれはノーカウントでいいだろう。ナナはそう自分を言い聞かせた。
ナナから見れば極めて高い戦闘力を持つ周囲の面々は人族や猫獣人族ではなく、得体の知れない異界の住人だ。
だがナナには彼らの気質に自分達との気質に違いは認められなかった。
倉ぼっこと一緒に脱け殻を不思議そうに眺めている二人の妹達もきっと同じだろう。
むしろ見ず知らずの自分たち三人を積極的に受け入れてくれてさえいる。
最初は生き残るため、彼らと共に在るということに必死だった。
だが今では彼らの輪の中に自分たちの居場所を作り、皆のために少しでも役に立ちたいという心境に変化しつつあった。
「仲間、か。」
「さびしい、の?」
少し切なげな表情のナナに気づいた百々目鬼がぼーっとした瞳でナナを見つめている。
百々目鬼がナナに、いや、伊織以外に話し掛けるのは珍しい。
昨晩の話によると、このふんわりとした百々目鬼がその気になれば自分など抵抗の意思を見せる間も無く制圧されるのだろう。
だが、ナナは百々目鬼にはそんな気など欠片もないことを知っていた。
「いえ、とても暖かい雰囲気だと思ったんです。」
「うん、主様は、おてんと、さま。」
ナナにはおてんとさまかどうかはわからなかったが、確かに中心で影響力を振り撒いていることには頷けるものを感じていた。
「私は寧ろ、主様は月のように、宵闇から睥睨する王をイメージしますね。」
倉ぼっこが『モイラ』に持ち込んだ品々を整理していた覚が会話に加わった。
ご主人様案件へと張り巡らされた網に掛かったのだろう。
ナナには月がどういう物かは解らなかったが、冷然と見下ろす伊織の姿は容易に想像ができた。
「確かに、伊織様って威圧感ありますよね。風格というか。」
「ええ、とても齢16のものとは思えません。」
「そうか?俺は他の同年代を余り知らんからな。姉さんとは大差ないと思うが?」
「お館様もまた一般とは乖離しておりますから。」
ナナは伊織の姉は怒ったら怖い人かもしれないと想像した。
伊織は姉に会えないことを寂しいとは思わないのだろうか。
自分は妹達と引き裂かれてしまったら立ち直れないかもしれない。
だが、少なくとも伊織がナナの前で悲壮感を見せたことは一度もない。
ナナが難しい顔をしてあれこれと想像していると、そんなナナを何気なく見つめていた伊織へレミィからの報告が届く。
[マイマスター、おめでとうございます。
新しい異能が発現しました。
『水属性適正』『土属性適正』『風属性適正』『闇属性適正』が発現し、即座に『火属性適正』『光属性適正』『無属性適正』を含めて統合され、『基本七属性適正』へと変化しました。]
(それは嬉しいな。しかし、魔力操作は発現しないか。)
[恐らくはマスターの種族『妖人』に含まれていると予想します。]
(前もそんなことを言っていたな。)
[イエス、マイマスター。]
レミィとの念話を終えた伊織はなにやら準備を始めた。
「主様、なに、する?」
「走る。最近は体を動かす余裕がなかったからな。」
「主様、せっかくですから、希望者を集めてもよろしいでしょうか。」
「好きにするといい。そういうことならロクに速度を落とさせよう。」
なんだかんだで盛り上がってしまい、皆で走るということになってしまった。
ならばと伊織は敢えて最後尾に陣取ることにした。
伊織の予想した通り、10分もするとすぐに脱落者が出た。
「ノノ、運ぶぞ。」
膝に手を突き息を荒くするノノを有無を言わさず抱えあげ、背中に背負って駆けはじめる。
「うむ、ちょうどいい負荷になるな。」
「うわー、速い、高い、速いー。」
後ろのノノがあまり揺れないよう、重心を動かさないことを意識しつつ走るのは想像以上の負荷だった。
そのまま走り続けるとやがてネネが五体投地 状態で倒れている。
「ネネ、運ぶぞ。」
そのままネネを片手で抱き上げるようにして走る。
「うわわ、すごっ!ひゃーっ!」
驚いたネネの様子を気にも留めず伊織は走り続け、そのままロクに追い付いて中に放り込んでまた最後尾へと向かう。
ネネとノノは当初の目的など遥か彼方に投げ捨ててはしゃぎ続けていた。
やがて疲れたのか、電池が切れたように昼寝をしてしまった。
体を寄せ会う二人の姿は仲良く微睡む猫のようだった。
伊織は次から次へと脱落者を救護?し続けた。
最後まで生き残ったのは意外なことに覚だった。
「主様の、手を、煩わせる、など、あって、はならな、」
「よし、そこまでだ。すでに限界だろう?」
覚は頑なに継続を主張する理性と、肩に置かれた暖かい手に奪われそうな意識を、震えながらも懸命に繋ぎ止めた。
それを勘違いした伊織が無慈悲に止めを刺してしまう。
「頑張りは認めるが、無理をしすぎだ。
体を壊してしまっては本末転倒だろう。
お前が倒れては俺が困る。余り心配を掛けるな。」
覚の理性と意識は仲良く粉砕され、体と共に意識もまた伊織によって運ばれてしまう。
のちに覚はこの時の記憶がないことを大いに呪ったという。
「眠ってしまったか。世話の焼ける従者なことだ。」
その声色は静かで、ほんの少し優しかった。
死屍累々の皆を一瞥することもなく、伊織はレミィに問う。
「レミィ、付近に水場はあるか?」
「2時の方向6km先に泉があります。」
「火車、進路を変えてくれ。」
「オレサマ スターボード イージー」
火車はよくわからないことを言って進路を泉へと向けた。
ああいうのは大体座敷童子が関わっており、概ね無害であることを伊織は理解させられていた。
そしていつも通り黙殺した。
泉は視界に収まる程度の小さなものだったが、水浴びをするには充分だ。
「レミィ、危険はあるか?」
「敵性体は確認できません。」
レミィの返答に満足すると、伊織は手早く衣服を脱ぎ去り、下半身のみの下着姿で水に浸る。
時間が経過して体の火照りは収まっていたが、それでも水の冷たさが心地よく感じられた。
「ところでレミィ、俺も一応は男だが、こういう時は恥じらいを覚えるものではないのか?」
「我々天使はそういう風には作られておりません。」
セクハラともいえる直截な伊織の物言いにレミィは微塵も動じることはなかった。
だが、思うところはあったようで静かに言葉を継いだ。
「ですが、そういった感情に興味は尽きませんね。無い物ねだりですが。」
「それは俺にも言えることだな。様々な感情は病と共に置いてきてしまったからな。
過去の自分が別人のように感じられて今でも戸惑うよ。」
「後悔していますか?」
「残念に思うことはあるが、それはレミィの言うように興味に近いかもしれんな。失ったものを惜しく感じることもまた、無い物ねだりなんだろうよ。」
「そういう意味ではマスターは我々天使と近しい存在と言えるのかもしれませんね。」
「そうだな。伏姫は元人間ではあるが情緒はしっかりと残っている。精神的な在りようとしては俺は神々よりもむしろ天使に近いのかもしれんな。」
そう言い残すと伊織は潜った。
泉の中は透明度が非常に高く、遠くを泳ぐ魚の群れをはっきりと捉えることができた。
大小様々な魚の群れと水面がキラキラと輝く情景は伊織の目を楽しませてくれた。
(あまり心が動かなくなったとしても、美しいものは変わらず美しい。)
浮上しようとすると奇妙なものが視界に入った。
普段であれば気にも止めなかっただろうが、昨日の会話を思いだしてそれを丁寧に拾い上げた。
軽く辺りを伺ったが、どうやら本体は居ないらしい。
伊織は満足し、ゆっくりと浮上した。
軽く呼吸を整えると、肌色が視界を覆った。
「一人で遊ぶのはずるいじゃろ。妾と遊んでたも。」
いつの間にか近づいた村雨の暖かい感触を感じる。
「おい、素っ裸じゃないか。お前に恥じらいはないのか?」
「伊織も似たようなもんじゃろ。見せて減るようなものでもないしの。」
伊織は早々に反論を諦めてしまった。
何を言っても響かないと悟ってしまったらしい。
「遊ぶのは構わんがちょっと待て。折角の土産が壊れてしまうからな。」
「なんじゃそれは、ってただの脱け殻ではないか。」
「倉ぼっこが興味を示すと思ってな。」
「ふーん、確かに綺麗な色をしておるのう。」
伊織は岸まで歩き、適当な葉を見繕って脱け殻を丁寧に置いた。
妖術で軽く乾燥させるか考えたが、不要と主張する強い日差しを見上げてすぐに考えを捨てた。
村雨のもとに向かうと皆がちらほらと姿を見せた。
水着代わりに下着を身につけた者も居れば、村雨同様の裸族もいる。
「待たせたな。」
「うむ。なにをするのじゃ?」
「誘ったのは村雨だろう。考えがあったのではないか?」
「ないのじゃ!」
「では、妖術を使った『当て鬼』にするか。」
「それなら妾が鬼をやるのじゃ。」
「鬼が使っていいのは水系のみ。逃げるものは湖から離れなければなんでもありでいいか?」
「んじゃそれでやるのじゃ。」
「数えるぞ?」
「ああ。」
村雨が目を瞑って数を数えはじめると、伊織は作戦を考え始めた。
すぐにカウントが近づく。
「3,2,1,ゼロじゃ!うん?堂々と姿を見せるとは妾も嘗められたもんじゃな?」
「遮蔽物が一切ない場所でどこに隠れろと言うんだ。」
「うるさいのじゃ!伊織はいつもいつも、ああ言えばこう言うのじゃ。」
「御託はいいからとっとと掛かってこい。」
伊織は挑発しながらも魔法を準備していた。
「キー、伊織の癖に生意気じゃ!すぐに泣かしてやるんじゃからな!
出ませい、『蛟』!」
村雨は湖の水を使って水の蛇を作り出した。
近くに水場あることで水を生成する過程が省略できるため通常の倍の速度で喚び続ける。
蛟は村雨の大まかな意思を反映して自動で動く。
蛟は早速とばかりに伊織に向けて開幕の水弾を放った。
その様子を伊織は感情のない瞳で見つめていた。
回避しようとする素振りが一切ない伊織の様子に村雨が訝しむと同時に伊織の指が僅かに上に動いた。
「サンドウォール」
伊織の合図に地面から砂の壁が出現し、ぶつかった水球が吸収されてしまった。
「ふん、面妖な術を使いおって。ほれほれ、どんどん往くのじゃ!
出ませい、『蛟』!」
「面妖なのお前の方だろう。」
どんどん数を増やす水蛇を物ともせず、伊織は淡々と迎撃を続けた。
砂の塊をぶつけて叩き落としたかと思えば火の玉で相殺する。
同様に水球をぶつけては、突風で反らす。
その様子は実験室でネズミを観察する科学者のようだった。
(やはり五行に近しい相剋関係があるようだな。
土剋水か。ならば。)
村雨の放った『蛟』が10を越えた頃、伊織は次の手を打った。
「サンドウォール」
伊織が初手で発動した魔法だったがその様相は大きく異なっていた。
伊織を中心として、広範囲で数多の砂粒が中空に漂い続けている。
語弊はあるがそれは動かない砂嵐のようだった。
「これでは壁とは言えんな。」
水蛇は構うことなく水弾を吐き続けるが、伊織に到達することなく速度を急速に落として墜落する。
「ぐぬぬ、なんであんなに薄い砂如きが抜けんのじゃ!」
伊織が展開したのは水に対してジャマーのような効果をもたらした。
水球に混じった砂がその制御を無効化して術式が霧散してしまったのだ。
その結果、ただの水となった水球は指向性を奪われ、重力に吸い込まれる。
理解してしまえば単純なことだった。
「魔法は発動速度では妖術に勝るが、単純な力では及ばない、か?
システムが管理する弊害かもしれんな。」
「おのれぇ。領域支配ならば負けておれんぞ!
『玉散叢雨』」
「ようやく本気か。相変わらずお寝坊さんだな。」
「やかましいのじゃ!結界は貼っておろうな?」
当然ながら伊織は防御用の結界を纏っている。
こちらから攻撃するつもりはないが念のため村雨にも。
ここまで伊織は一歩も動いていない。
それすらも伊織の罠だった。
周囲に霧が立ち込め、砂を叩き落としながら力ずくで領域の支配を奪い取った村雨が高々と宣言する。
「終いじゃ伊織!
『凝結氷杭』!」
伊織の周囲に唐突に100を越える巨大な氷の杭が出現する。
「くたばれええええええええ!」
そしてカタパルトもかくやという速度で全ての杭が全方位から発射された。
響き渡る轟音が大地を揺らし、巨大な土煙が巻き起こって周囲に強風を撒き散らす。
「あ、殺ってしもうたか?」
遠くで|誰かが叫んでいるが二人とも全く気にも留めていなかった。
「阿呆、いくら水場とはいえ遣り過ぎだ。」
もうもうと立ち込める煙が晴れると無傷の伊織が元の姿そのままに立っていた。
「無傷じゃと!?結界に触れることすら叶わんかったのか・・・」
伊織の『物理障壁結界』は攻撃を弾く訳ではなくあくまでも軽減するものだ。
つまり、あれだけの質量攻撃で無傷ということは触れることがなかったということになる。
「いい勝負だった。お陰で色々と解ったことがある。」
「妾も手札を増やす必要がありそうじゃなあ。」
「折角魔法にも適性があるんだ。色々と試すといい。」
「ふん、秘密の特訓をして次こそはギャフンと言わせてやるのじゃ。」
「村雨が強くなってくれるのは大歓迎だ。是非、ぎゃふんと言わせてくれ。」
「ところで何をやったんじゃ?」
「あの場に居なかっただけだ。」
「はぁ!?」
「お前、俺が『透過結界』を貼れることが完全に頭から抜けていただろう?」
伊織は透過結界を応用することで光を屈折させ、あたかも最初の位置に留まり続けているように見せていた。
「じゃ、じゃが今は最初の位置から歩いてきたではないか。」
「その方がびっくりするだろう?」
「お前は本当に嫌な奴じゃな!!」
「ともあれ、『玉散叢雨』で気配を探ろうとしなかったのは減点だな。それに足音や足跡にも気づいていない。
いくらでも気付ける要素はあったはずだ。熱くなりすぎるのはお前の欠点だな。」
「むぅ、反論の余地もないのじゃ。」
「あとは『凝結氷杭』だが、当たれば凄まじい火力ではある。だが発動が遅すぎるな。折角氷に適性があるんだ。足止めや鈍足を覚えるといい。」
「ぐぬぬ、伊織の癖にアドバイスが的確なのじゃ。男らしくない戦法ではあるがやむを得まい。」
「そんな阿呆な理由で戦術の幅を狭めるなよ?」
「阿呆とはなんじゃ、阿呆とは!」
『凝結氷杭』を見たことがない面々は一様に驚きで目を見開いていた。
そんな皆の元へと二人はいつものようじゃれあいながら戻って行った。
「とっとと汗と砂を落として火車に戻るぞ。」
そう言って湖に目を向けた二人が見たのは、水中を爆走する火車の姿だった。
「火車なのに水中を走るとはこれ如何に。
火の弱点は水ではないのかえ?」
伊織もこればかりは深く同意した。
「ごぼごぼぼ ゴボボボ ゴボゴボゴボ」
______
ちゃむだよ? >_(:3」∠)_
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄




