モイラ編02-07『メメメのメ』
ーーー『メメは、いつも、あなたを、視ている、よ?』
side メメ
メメだよ?
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種族:鬼族
名前:百々目鬼 436歳(6歳)
レベル:89 EXP:(1,152/1,179,648)
特殊スキル:『宣告者の瞳』レベル9
異能:『百眼』『Ex共喰(眼)』『Ex白眼』『瞳の女王』
『光適正』『精神異常無効』
祝福:なし
称号:『目玉コレクター』
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「これは何と言うか、字面だけで凄みを感じるな。」
「正直なところ、私も背中に冷たいものを感じます。魔王と言われても驚きません。」
メメ、冷たく、ない、よ?
「気になることは幾つもあるんだが何故年齢が2つあるんだ?」
「百々目鬼様は436年前に生まれ、6年前に『転生』されたのではありませんか?」
「6年前というと、俺の意識がなかった頃か?」
「伊織様がお倒れになった後、覚、百々目鬼、一反木綿、獏の四名は『妖羽化』し、人形へと変化しました。」
説明、ご苦労、さま。
お喋り、苦手。
好き、だけど、ね?
「詳しく聞こうとしてもお前たちは教えてくれなかったよな。
『妖羽化』はとても辛いと聞く。さらには失敗して無為に『一回休み』になることも多いと記憶している。
大変だっただろう?」
「主様のお身体の辛さとは比較にもなりません。まして自らが望んだことですから。」
え?
泣くほど、辛かった、よ?
多分、サトは、マゾ。
「まあ、他者がとやかく言うものでもないが。」
「なあ、最初にはっきりさせたいんじゃが。
結局、メメはどんなことができるのじゃ?」
「眼による状態異常だな。
『睡眠』『麻痺』『猛毒』『恐怖』『緊縛』が使えるのは把握しているが、どうだ百々目鬼?
「とまる、よ?」
「『緊縛』とは違うのか?」
「違う、よ?」
「まさか時間に作用しているのか?」
「ながいと、死ぬ、ね?」
「『停止』だろうな。
俺も運命の女神から『神に片足を突っ込んでいる』と言われたことがあるが、百々目鬼も時間の問題かもしれんな。
他にはもうないか?」
「うん。」
主様、お揃い、やったー。
「それにしても状態異常のバーゲンセールじゃな。」
「買う?」
「やめるのじゃ!絶対ダメじゃからな!」
「からのー?」
「フリじゃないのじゃ!」
「残念。」
「いや、悪くない話だぞ?負荷を調整すれば百々目鬼の腕が上がるし、対象者は抵抗力を得るんじゃないか?」
「イエス、マイマスター。」
「強くなれるのじゃな?しかし、うーん。」
「寝てるときなら気にならんのではないか?」
「女は度胸じゃ!試してみるのじゃ。
でも『恐怖』はやめてたも。怖い夢を見そうじゃ。」
「おもらし?」
「せぬわ!じゃが、夜中に布団から離れられんようになるかもしれんじゃろ?」
「よく、わからない、ね?」
「その話は後でゆっくり話し合ってくれ。レミィ、続きを頼む。」
「イエス、マイマスター。
異様に高いレベルですが、百々目鬼様は頻繁に狩りなどされていましたか?」
「メメ、弱い、よ?」
「それほど戦闘はされてなさそうですね。
レベルが異様に高いのは異能『Ex共喰(眼)』の効果と思われます。
これの下位に『共喰』という異能があります。
これは同族を補食することで経験値を得るというものです。
異能『Ex共喰(眼)』が『共喰』から派生したものであるとするなら、百々目鬼様は他者の眼球を食すことで経験値を得ていると考えられます。」
「好物だよ?」
「横からですが、補足します。
百々目鬼は『邪眼』や『魔眼』を食すことでその異能を吸収し、それを発現可能になります。
『Ex共喰(眼)』にはその効果も含まれると考えるべきでしょう。」
サト、ないす、ふぉろー。
「なるほど。
Ex異能は通常の異能より高性能なものが多いですが、『Ex共喰(眼)』は『隔絶』していますね。
魔王系統が発現する『暴食』の効果と似ています。」
「ちらほら耳にするが、魔王と言うのはどういうものなんだ?」
「端的に言うなら、極めて強力な能力を持つ魔物の王です。」
「ゴブリンキングなのじゃ!」
「あれが100匹いても傷ひとつ与えることなく蹂躙されるでしょう。」
「なるほど、ゴブキンなんかより伊織のほうがよほど魔王ぽいのじゃ。」
「ここで流れ弾が飛んでくるのは予測できなかったな。」
「メメ、魔王?」
「いえ、その可能性はございません。
魔王ならば種族『魔王』と表示されますので。」
ちょっと、残念、ね?
「話を戻して結論を申し上げますと、百々目鬼様は436年間に眼球を食すことでレベルが上がり続けたと推察されます。」
「なるほど、道理だな。」
「次に、特殊スキル『宣告者の瞳』ですが、百々目鬼様は『邪眼』のような能力をお持ちです。」
「うん、『瞳術』だよ?」
「『宣告者の瞳』はそういった邪眼系スキルの上位に位置するものです。
発動の成功率・威力・持続時間など、あらゆる能力が強化されています。
このスキルはさらに進化する可能性があります。」
「メメの眼、もっと、強くなる?」
「はい。現在レベルが9ですので変化するとしたら次ですね。
恐らく飛躍的に強化されるでしょう。」
「頑張って、食べる、ね?」
やったー。
「ええ、どんどん食べましょう。
続いて『百眼』ですが、これは周囲に不可視の『瞳』を展開し、広範囲の索敵を可能とします。
また、不意打ちで『瞳術』を放つことができ、対象を一方的に無力化することが可能です。
強いて弱点を挙げるとすれば、発動直前にステルスを解く必要があることでしょうか。」
「改めてそう言われると、恐怖しかないな。」
「だめ?」
「いや、とても頼もしく思う。」
うふふ、よかった。
「百々目鬼様、展開範囲はどの程度でしょうか?」
「この町、ぐらいなら、余裕?」
「『眼』は最大でいくつ展開できますか?」
「98こ、だよ?
2こは、メメの、おめめ、だよ?」
「情報提供ありがとうございました。
百々目鬼様の能力は固有のものが多いため解析の参考にさせていただきます。」
「よろしく、ね?」
「次は異能『Ex白眼』ですが、複数の『眼』で『瞳術』を発動した際に対象の抵抗を僅かながら『貫通』するようです。他にも思い当たることはありませんか?」
「直接、見ないと、ダメ?」
「なるほど、ご自身で視認した上でということですね。
相手が百々目鬼様を視認する必要はありますか?」
「ないけど、利き、わろし?」
「やはりそうですか・・・」
「だめ?」
「いえ、大変結構なことですよ。
では続いて異能『瞳の女王』ですが、成功率・威力・持続時間が中程度上昇します。恐らく一度進化済でしょう。これから『瞳術』使い続けることでさら進化する可能性があります。」
「シンプルに強いな。」
褒め!
「『光適正』は光を扱うあらゆる事象に補正が掛かります。
次は『精神異常無効』ですが、これはそのままですね。魅了・幻惑などのような精神に作用する状態異常を無効化します。」
「これがあるだけで邪眼持ちを一方的に蹂躙できそうだな。」
られた!
「最後は称号『目玉コレクター』ですが、目を補食したことで獲得したものです。」
「それにしても一から十まで『眼』関するものばかりだったな。」
「だめ?」
「特化には特化の、汎用には汎用の利点も欠点もあるからな。
百々目鬼はここまで尖ってるんだからこのまま極めればいいんじゃないか?」
「うん、メメは、眼だから、ね?」
「それでは総括ですが・・・」
「どうした?」
「いえ、推測に過ぎないと前置きさせていただきます。
大前提として邪眼系スキルは『相手と目を合わせる』ことで発動します。
逆に言えば視界以外の索敵方法があるならば、極論すれば目を閉じるだけで邪眼を完封できます。
最たるカウンター例は覚様ですね。
ここまでよろしいでしょうか。」
「ああ、割と有名な話だな。」
「はい。
ですが『Ex白眼』ならばその常識を根底から覆すことが可能です。
目を合わせることなく、対象の抵抗を貫通する。
つまり直接対峙する必要はありますが、目を合わせることなく古龍種や神ですら討てる可能性があります。」
「とはいえ流石に簡単にはいかないだろう?」
「ええ、現状では。」
「百々目鬼には伸び代があるが、無効化にそれ以上はないという訳か。」
「お察しの通りです。
さらに成長すれば『百眼』でステルス状態のままその『瞳術』を放つことが現実的になるかもしれません。
つまりステルスを看破できなければ、百々目鬼様に見つかった時点で詰みです。」
「「「・・・」」」
静かに、なった、ね?
百々目鬼様は倉ぼっこ様とは違った意味で得手不得手がはっきりしています。
特に防御面が課題でしょう。
そこで、強敵を相手にするときは百々目鬼様を守護しつつ『瞳術』で牽制・弱体させ、アタッカーで止めを差す。
そういった運用も作戦一つとして考慮すべきでしょう。
もちろんそんな相手と相対しないことが一番ではありますが。」
「なるほど、戦術軸の一つとして非常に有用だな。結界は有用ではあるが万能ではない。百々目鬼を守る手段は複数用意すべきだろう。」
「また百々目鬼様は自衛のための最低限の『目』を自身の周囲に常時展開すべきでしょう。」
「聞いたか、百々目鬼。」
「うん。わかった。」
「百々目鬼様については以上です。」
メメを、守る?
メメは、お姫様の、気分。
うふふ。
「そろそろ夜も更けてきたな。
覚を最後にして今日は休むとしよう。」
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種族:陰妖族
名前:覚 467歳(6歳)
レベル:1 EXP:(0/5)
特殊スキル:『完全空間解析』レベル1
異能:『第六感』『看破』『高速思考』『交渉』『闇適正』
祝福:なし
称号:なし
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「覚と百々目鬼はほぼ同年代なんだな。」
「はい、付き合いも長い腐れ縁です。」
メメは、腐って、ない、よ?
「ではレミィ、頼む。」
「イエス、マイマスター。
まず、特殊スキル『完全空間解析』ですが、これは『構造体』、『情報体』、『妖力体』、『幽星体』といった情報を解析・修復するスキルです。
解析スキルとして最高峰の性能といえます。
修復に関しては回復量そのものよりも、自然治癒や魔法では回復できないものを回復できることが最大の特徴と言えるでしょう。
現在はレベル1ですので、レベルを上げることさらに強力なスキルとなります。
強いて弱点を挙げるなら範囲が限られることぐらいでしょうか。」
「覚は戦闘向きではないからな。
倉ぼっこ同様、経験値を稼げそうな時にまとめて稼ぐとしよう。」
覚も、目玉、食べよ?
「異能『第六感』ですが一般的に『勘』と呼ばれるものに小補正が掛かります。
異能『看破』は探知能力に小補正が掛かります。
異能『高速思考』は思考速度に小補正が掛かります。
異能『交渉』は交渉成功率に小補正が掛かります。
異能『闇適正』は闇を扱うあらゆる事象に補正が掛かります。
全てのスキルが成長可能です。」
「なるほど、内政面はもちろんだが、戦闘面では索敵や情報収集さらには集団戦闘での部隊指揮官に向いてそうだな。」
「イエス、マイマスター。
シナジーのある異能が綺麗に纏まっています。
直接戦闘が課題ではありますが危機察知能力に長けていますので、適切な護衛がつけばさほど問題視することはないでしょう。
無理に戦う必要はありませんから。」
「そうだな。」
「私は屋外の情報収集が得意ではありますが、反面屋内での情報収集が限定的です。
対して覚様の場合、超広範囲とは参りませんが現実的な範囲として充分な領域をカバー可能で、かつ私とは比較にならないほど精密です。
最後に、マスターと覚様は可能な限り共に行動していただきたく提案します。」
「覚は俺に情報を、俺は覚の護衛を、ということだな。」
覚、喜び、メメは、視ている、よ?
「では、今晩はここで解散する。といっても皆同室だがな。」
「今日は、メメと、寝ても、いい、よ?」
「男女七歳にして席を同じゅうせず、と言ってだな。」
「メメ、6歳。」
「昔から百々目鬼は寂しがりだな。」
「うん、だめ?」
「6歳の間は許可しよう。」
「やったー。抱っこ。」
次は、サトも、ね?
おやすみ、主様。
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ちゃむだよ? >_(:3」∠)_
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