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花めく為に散る、  作者: 苫田 そう
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1. 偉大なる地の創設者に敬意を込めて

あんまり長くないので、犯人がわかるまではぜひ読んでほしいです。

『花めく為に散る、』よろしくお願いいたします。




偉大なる地の創設者へ敬意を込めて。



 

 『魔王:メフィストフェレス』いつしか貌を成し、人々の生活へ侵食してきた元初にして最悪の悪魔。そして悪魔たちを束ねる魔の王である。彼の出現によりこの世界の生態系は破壊され、生きていたものが生きれなくなりつつあり、死していたものが生きれるようになってしまった。簡潔に言えば世界の均衡が崩れたのである。



 しかし、それで黙っていられる人間たちではない。人間たちは自身の生活を脅かす『魔』に対抗すべく自らの知恵を振り絞ったのだ。当然だが、知恵を振り絞ったところで『魔法』という超常的な力が使えるわけはない。

『魔法』とは人地を超えた『魔』の力であるため、人が知恵を振り絞ったところで、元来『魔』を身体に宿していない人間に使えるはずがない。


 しかし、『魔法』のようなものは使えた。引き金を引けば鉛が飛ぶ道具や、強固な岩をも真っ二つに斬りうる道具、『魔法』による攻撃に対して身を守ることのできる道具。それらを駆使して人間は『魔』に抵抗していたのである。


 そう、あくまで抵抗である。人間は迫り来る『魔』を押し返すことができず、防戦一方を強いられ、人間の生活圏は年々減退していた。そこで政府は『勇者システム』という制度を設けた。

 『勇者』に志願することで『魔』と戦う権利と道具を与えられ、大きな成果を上げずとも任務にさえ赴けば、国から生きていく上で必要なもの以上のものが全てを支給されるという制度である。女、金、酒、など当初多くの男性が甘い蜜に誘われ、『勇者』に志願した。


 しかし、その八割が最初の任務により再起不能、または死亡した。


 このように『魔』に挑む『勇者』という役職は非常に危険度の高いものであり、志願するものの八割が生きて帰ってくることができないことから、いつしか「志願」ではなく「死願」だと言われていた。それゆえ『勇者』を死願する者も減り、国は少しずつ衰えていき、国は国家総動員令を出す一歩手前まできていた。


 しかし、そこで一人の深紅の髪を長く伸ばした美しい女戦士が『勇者』に死願した。年々『勇者』が不足していく国にとってその死願を拒む理由はどこにもなく、女は『勇者』になった。


 そしてその女はのちに『大勇者:ヘレネ』と呼ばれ、歴史に名を残すことになる。

その女はまさしく人類の希望であった。女は一人で失われた人類の領土の六割を取り戻し、様々な分野の武道、学問の発展に貢献し、諸悪の根源である『魔王:メフィストフェレス』の喉元まで剣先を届かせた唯一の人類だった。しかし、彼女は一人だった。『魔王城』への道のりでも、『魔王』と戦う時ですら。


 もし彼女がパーティを組んで挑んでいたら結果は違ったかもしれない。


 結果、彼女は『魔王:メフィストフェレス』に敗れ、この世を去った。

 

 しかし、彼女の死は決して無駄ではなかった。彼女に鼓舞された人間たちは諦めかけていたこの戦いに再び立ち向かうことを決意した。彼女の残した武術や戦略は人間に多大なる進化を齎せたのだ。

 

 彼女の死をきっかけに、『勇者』の数は増え、『勇者』を支援する職業も増え、彼女の死から学んだ人間たちはバランスの良いパーティを組んで『魔』に挑むこととなる。


 そして物語はここから始まる。

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