ゴーストとヒューマンのハーフ兄妹
「いや〜、先日はほんとにありがとうございました」
「ありがとね〜」
昨日の2人、レイとジンが店にやってきた。
どうやら2人はヒューマンとゴーストのハーフらしく、いつもはひっそりと暮らしていたらしい。
しかし運悪く妹のレイだけ丸呑みにされてしまい、ここに来たということらしい。
「それで、どうして『デリバリー』を依頼したんだ?ちょっと待ってれば救助されるだろうに」
「こいつ認識阻害が使えるんですよ。それで対策課に蜂の巣にされたら面倒なんですぐに決着つけられそうなここに依頼したんです。······まあ心配はしてないですけど」
「私は対策課程度の弾じゃ傷一つ付かないけどねー」
じゃああそこで寝てたのは認識阻害の使いすぎか?
まあなんにせよ依頼が無事に終わったのなら良かった。
「私ラーメン四杯!」
「俺は一つで〜」
「はいよ」
竹林さんがラーメンを作りに厨房へ戻る。
「そういえば二人はどこらへんに住んでるんですか?」
「北の方にあるゴーストタウンです」
「暗いからアンデットもたくさんいるよ〜」
「そうなのね、あっちはあんまり行かないから知らなかったわ」
アンデットって街でも暮らしてるのか。
今まで会ったアンデットは墓場で酒盛りしてるのしか見た事なかったから新鮮だ。
あ、いやそういえば一軒家持ってるのもいたな。
「ほら、ラーメン五杯だ」
「やったぁー!」
二人がラーメンを受け取って啜り始める。
······一回で合計五杯食べるんだったら次でここに来るは最後か。
まあどうでもいいかな。
レイが1杯目を空にし、2杯目に手をつける。
ジンがメンマをゆっくりと咀嚼し、麺を啜る。
その間にレイは2杯目のスープを飲み干す。
「······ゴーストって大食いなのもいるのか」
「まあ基本的に俺たちは食べなくても生きていけるけど······」
「でもでも、美味しいものをたくさん食べられるならそれに越したことはないんじゃない?」
「私達は食べたらそれが血肉になりますがね」
「おい、その豊満な胸を斬り落としてやろうかぁ?」
やっべ変なこと言わなきゃ良かった。
「認識阻害を使いこなせる私に触れられるとでも?」
「ほら、調子に乗らない」
「てへっ」
全然関係ないけどかくれんぼ強そう。
そうこうしてる間にレイが最後のスープを飲み干す。
「は〜、美味しかった!」
「そりゃなによりだ」
「待ってろ、あと肉と麺とスープだけだから」
それは大部分だからな。
「おっけぃ。そうだ!今度三人でスイーツ食べに行こうよ!これでも私って結構詳しいんだよ?」
「いいね!今度未来予報士さんに災害ない日教えて貰ってくるね!」
「じゃあ連絡手段は何にする?」
「私の分霊でいい?」
三人の話が盛り上がるなか、ゆっくりとジンは麺を啜っている。
「なあ······これからもレイをよろしく頼む。ハーフは稀に奇異の目で見られることもあるからな。仲のいい友人の一人や二人いると助かる」
「もちろんですよ。困った時はなんとやらですよ」
「ハハッそうだな」
そう言うと最後の麺を啜ってスープを飲み干す。
「ご馳走様。美味しかったよ」
「また来てくれよな」
「ああ、ところで会計はいくらだ」
「五百万ミクスだ」
「······あー、ここで払うのか。別途かと思ってた」
「取り戻るか?」
「じゃあ俺の生き肝でもいいか?」
「生き肝を抜くな」
「あ、私五百万なら持ってきてるよ」
レイがバッグから札束を取り出す。
「ナイス!」
「普通に家に忘れてたから次はちゃんと持ってきてね」
「よぉし助かった、ありがとな。これでピッタリか?」
竹林さんが手渡された札束を目視で確認する。
「うん確かに貰った。それじゃあな」
「ああとても美味しかった。またいつかな〜」
「じゃあね〜」
二人が扉を開け、左に曲がって姿を消した。
「竹林さん、私達今度お休みもらっていい?」
「いいぞ」
「レル仕事お願いね」
「はぁーい」
ダルッ。
まあラーメン出したら店の裏行けば何とかなるかな。