タイタン
店の外から爆発音やら悲鳴やらが聞こえる。
それと共にどしんどしんと大きな地響きも聞こえる。
今話題沸騰中の1200mのタイタンがこちらの街に向かってきているというのだからこうなるのもしょうがない。
まあ幸運なことにこの店は丁度タイタンの股下らしく今回は避難の必要が無いのだ。
「この足音うるさいね〜」
「私はもう慣れました」
「一週間くらい前から続いてたらそりゃあ慣れちゃうよね」
「あ、もうすぐでタイタンが店の真上通りますよ」
たった今窓の外から見えた情報を共有する。
「あと·········十歩くらいですかね」
縦200m、横70mの巨大な足が段々と迫ってくる。
タイタンの進むスピードは意外とはやく五秒程で一歩進む。
窓の外をぼーっと、タイタンがこちらに向かうのを眺める。
ふと本当にタイタンがこの店を潰さないのか心配になってきた。
「竹林さん、この店ってほんとに大丈夫なんですか?」
「ああ、配られたハザードマップにそうあった」
「多分これこっち来るんじゃないですか?」
遠くにタイタンの足が着地するのが見えるが恐らく次の一歩でこの辺まで来るのだろう。
次の瞬間、晴れていた空が暗くなりタイタンが真上に居ることを知らせる。
そして視界の右側には爆音と共に新たに作られた壁があった。
いや、壁じゃなくて多分タイタンの足だ。
「ガアアアアアアアアアアッデム」
「キャアアアアアアア」
「み、みんな、落ち着いて」
やっぱハザードマップってクソだわ。
全然お店半壊してるじゃん。
何がちょうど股下だよ。
「ノオオオオオオオオオオオン」
竹林さんが壊れた部分に向かって咆哮している。
たっぷり二十分程叫んだ辺りで糸が切れたかのように声が聞こえなくなった。
「······大丈夫ですか?」
「···················フー、あのタイタンを殺すぞ。その金でこの店を直そう。それまではテラス席で営業だ。よし決定!」
いや流石に竹林さんでも無理でしょ。
竹林さんがどんぐらい強いのかあんまわかんないけどさ。
竹林さんがどこからか大太刀を持ってくる。
「さあ行くぞお前ら!」
いや無茶だって······。