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多分パラレルワールド

つまりどういうことだろうか。

俺の体感では確かに長い間気を失っていた記憶はある訳だが、流石に2週間も眠っていたなんてことはありえない。

そんなことしたら栄養失調で死ぬか、それよりも確実にヤバイのに連れてかれるだろう。

······仮説を立てるとするならば俺以外の世界が2週間進んだか、それか俺が2週間進んだ世界に飛ばされたか、本当に2週間寝てたかだな。

まあとにかく生活には何の支障も無さそうだし、ペット達も元気そうだし、このまま現状維持で構わないかな。


「レル、ほんとに大丈夫なの?」

「ん?ああ多分大丈夫ですよ。今のとこ何も身体に不調は無いですし」

「じゃあその現在進行形で白くなってる髪の毛は不調の1つじゃないのかしら?」

「え?」


ここで自分の姿が見れる唯一のもの、ドア付近のガラスに映る自分を見る。

確かにそこには自分と全く同じ顔をした白髪のヒューマンが座っていた。


「マジかよ······」


情報災害の効果か、それとも単なるストレスか。

······まあまだ実害も無いし大丈夫か。

黒染めは······しなくてもいいかな。

面倒だし。


「レルおつかれ」

「煽ってます?」

「あ、そういえば2週間前に頼んだたこ焼きってどうなったのかしら?もう腐ってる?」

「たこ焼き?」

「たこ焼きよ」

「それはまた珍しく」

「しょっちゅう頼んでるじゃない?」

「そうでしたっけ?」

「イルの大好物だよ?」

「え?」

「え?」

「え?」

「············え?」


吐瀉物の染み込んだ服の臭いがふと鼻を掠める。

まずは思考を巡らせるために吐瀉物のついた上着を脱ぎ、「ちょっと洗ってきます」と言って席を立つ。

イルさんがたこ焼きをしょっちゅう食べている?

まさかそんなはずはないだろう。

今まであの人の好みとか聞いたことは無かったがなんとなく肉が好みである事は知っている。

この2週間で食の好みが変わったとか?

いやしょっちゅうという言葉から多分定期的に俺が買っていたんだろう。

······なにかおかしいな。

吐瀉物の付いた上着を自分のロッカーに押し込み、中にあった他の上着を羽織る。

よし、この状況がどういうことか解明してやる。


「カレンさん、好きな食べ物は何ですか?」

「え?山菜だけど?」


······つまりそういうことだ。

余程手の込んだイタズラ出ない限り、ここはどこか似ているようで違う世界なんだろう。

いや待て余程手の込んだイタズラの可能性も出てきた。

テーブル席に置いてあったリモコンを取り、テレビを付ける。

いつもと何も変わらないテレビ。

だがしかしいつもより字幕に色がないように見える。

気のせいか?


「イルさん、この世界ってどんな形してます?」

「え、楕円じゃなかった?」


そこは同じなのかよ。

さてどうしたものか、何かこの世界が前の世界と同じである証拠、もしくはこのドッキリの種明かしが欲しい。

そうだ、観測者に会いに行こう。

ああ能力の持ち主ならどうにかしてくれるだろう多分きっと。

そうと決まれば早速出発だ。


「イルさん、カレンさん、ちょっと観測者探してきます」

「よくわかんないけどいってらっしゃ〜い」

「今なら多分地下で発狂してるんじゃない?」

「わかりました、ありがとうございます。それでは」


さてまずは観測者が普段いる白ビルの地下に行くとするか。

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