情報災害ってホントにいやだ
店に置いてある電話が鳴り響き、イルさんがそれを取る。
「レル、配達行ってきて」
「わかりました」
「ピンポンする前に必ず目隠ししてね。見るだけで被害範囲が拡大するから」
「はぁ······」
やべぇ配達任されちゃったなぁ。
あれだよな多分情報災害かなんかだろうな。
「ほいよ、住所は次第通りの1の4の6な」
「わかりました、行ってきます」
竹林さんから岡持ちを受け取り、店を出てルドラに乗る。
1000万ルクス、このことを考えると正直頭が重くなってくる。
まあいいか、時間をかけてゆっくりと返していこう。
そんなことを考えているうちに目的の家の前に着いた。
インターホンに手をかけたところで目隠しの存在を思い出し、慌ててポッケの中の目隠しを付ける。
あれ、インターホンのボタンってどこだったっけ?
視界が塞がれた中、何とかして壁をから手探りでインターホンを見つける。
『[規制済み]』
「ラーメンのデリバリーで来ました」
『[規制済み]』
「わかりました」
······なんて言ってるかわかりずらいな。
声にモザイクをかけたみたいな感じだ。
多分そっちに行きますって言ったんだろうな。
わかんないけど。
扉の開く音がして、今度はノイズが脳内を埋め尽くす。
うわこれキッツ!
ノイズをかき消すように岡持ちを渡し、すぐにありがとうございましたと言って立ち去る。
角を曲がった辺りで目隠しを外し、吐いた。
マジでなんなんだよあれ。
街に住んでちゃいけない、なんなら国家機密レベルの精神汚染度だろ。
口の中で暴れる胃酸を吐き捨てた瞬間、ふと鼻の奥を甘い匂いが支配した。
なんだろこのにおい············
どっかでかいだことあるようなないような············
気付けば俺は吐瀉物の上に横たわっていた。
あの匂い多分なんかの汚染物質の匂いだろ。
吐瀉物に汚れた服を見て悪態をついてから店に戻る。
「ただいま戻りました······ん?」
なんでみんなこっちを見て······ああこの服か。
「レル大丈夫だった!?」
「え?情報災害の方なら······」
吐いて気絶するだけで済みました、と言う前にカレンさんの言葉で遮られる。
「そうじゃなくて······」
「2週間もいなくなってたんだよ!」
どうやら思っていたよりも被害は大きいのかもしれない。
こんにちは、羊木なさです。
毎度の事ながらまたしばらくお休みをいただきます。
次の投稿は26日です。
あと新しいお話を投稿するのはまだまだ先になりそうです。
気長に待っていてください。
それではまた。