デリバリーの代金
今、俺の手元に今月分の給料がある。
そしてこれを店に入って竹林さんに渡せば借金が返済できる、そのはずだった。
先日、サヤによって監禁された際に俺は咄嗟に『デリバリー』を頼んでしまった。
つまり1000万ミクスの借金を新たに背負い込んでしまったことになる。
思わずため息が出てきてしまう。
どうにかチャラにならないか、それか竹林さんが忘れてないかにかけよう。
いや、別に仕事が嫌いなわけじゃなくて借金するのが嫌な訳で······。
誰に話してるのかわからない言い訳を胸にしまい、意を決して店のドアを開けるとカランカランという音が店内に鳴り響く。
「竹林さん、これ今月の分のお金です」
封筒を開けて竹林さんがお札の枚数を数え始める。
「······7······8·····9、よしピッタリだな。残り1000万も頑張ってくれよ」
くっそ、ちゃんと覚えてたか。
それならばと新しく言葉を紡ぐ。
「その件なんですけどアレ無かったことに出来たりしませんか?」
「面白い冗談だな、叩き斬るぞ」
「はい、すみません。頑張ります」
「おう、じゃあこれからもよろしくな」
よろしくお願いします、と言ってテーブル席に座り込む。
すると隣にカレンさんが座って来て、肩に手を置きおつかれ〜と煽ってくる。
「ほらカレンやめなさい」
「レル今日は美味しいもの食べに行こーねー」
絶対死ぬまでにエグい罠にはめて泣かしてやる。
「まあレル、今日は焼肉でいいわね?」
追加でこの鳥もだ。
そんなことを思っていると不意に扉が開かサヤがやってくる。
思わず構えてしまうがどうやら竹林さんの様子を見るに戦い目的ではなく何か話があるのだろう。
サヤと竹林さんの話を要約するとここラーメン・デリバリーで50ミクスの普通の価格のラーメンを販売するようだ。
サヤ、こいつ前にここのラーメンはクソだとかなんとか言いやがったのに。
結局はこいつもラーメンを安く食いたいだけなんだな。
······そういえばミアは普通にお金払ってたな。
こういうところで2人のちょっとした格の差が伺える。
ふぅ、と息を吐き天井を眺めた。
いつもと変わらないこの店を見て俺は少し借金について前向きに検討してみようと思った。
ここで一旦ラーメンの話は区切りとなります。
次週は気が向いたら新作で、気が向かなかったらラーメンの新章を出します。
以上羊木なさでした。
ちょっと投稿遅れちゃってごめんなさい。