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ウサギの行方

喋るウサギを探して期待通りまで来たみたものの、どうやら事態は思っていたよりも深刻かもしれない。

少なくともこの期待通りではあらゆるところにウサギが跋扈している。

そしてウサギに懐柔されているモノもチラホラ見受けられる。

さてこれはどうしたらいいものか。


「カレン!レル!164メートル先にターゲット!」


頭上からイルさんの声が聞こえ、カレンさんが走り出す。

俺は建物の屋根に飛び乗り、麻酔銃を構える。

······人が多すぎて狙いずらいな。

銃をおろし、他の屋根に飛び移ってウサギの近くまで移動する。

肉眼でウサギを捉えられる程まで近付いた時には既にカレンさんによって捕獲されていた。

麻酔銃をポケットにしまい、カレンさんの元に駆け寄る。

カレンさんはウサギをイルさんの脚に挟み込んだ。


「よし、食料確保〜!」

「頼むそこのヒューマンよ助けてくれ」

「ごめん」


喋るウサギを捕まえ店に戻ろうとした時、ふと辺りにウサギが一匹も居ないことに気付いた。

イルさんの脚に捕まっているウサギを見ると手足を固定されているにも関わらず器用に動き抜け出そうとしていた。

そして拘束を解かれたウサギは宙に浮かんで行った。


「どういうことかしら?」


見上げると周りにいた全てのウサギが先程のウサギと同じように空に浮かんでいた。

すると空の空間が捻じ曲げられ、大きな宇宙船が現れた。

その宇宙船に次々とウサギは吸い込まれていく。

そしてウサギを全て吸い込んだ瞬間、宇宙船はどこかへ消えてしまった。


「······まあ隕石から出てきたしそんなこともありますよね」

「くっ······じゃあね兎肉」

「帰りはどこかでお昼ご飯食べてから店に戻りましょうか」


近くにあった鹿肉のお店に入り、そこで適当に昼食を済ませてから俺たちは店に戻った。


「どうだ、ウサギは捕まえられたのか?」

「いえ宇宙船にさらわれました」

「······?そうかそれならしょうがないか」


よく今ので納得出来たな。


「よーっす」


ドアのベルが鳴り、白い翼を持った天使が入店してくる。


「さっきたくさんウサギ拾ったんだけどいるか?ウチだけじゃさばききれなくてな」

「おおっ!さすがソノさん!大好き!」


どうやって宇宙船に吸い込まれたウサギを拾ったとか、どうしてそのウサギが懐いているのとかそんな些細な疑問は頭から抜け落ち、ただひたすらに今日の夕食がウサギになったのを俺は喜んでいた。

そしてそのウサギ達が一度も喋らなかったと思われるのは多分俺の気の所為なのだろう。

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