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ウサギ流星群

店のソファに腰をかけて天井から吊り下げられたテレビをぽけーっとしながら眺める。

するとよくわからない散歩番組が急に切り替わり、ニュース番組に切り替わる。


「ニュースは嫌い」


そう言ってカレンさんがテレビの電源を切る。

えーなんか面白そうだったのに。

まあいっか。

どうせ大したことやってないだろ。

突如、轟音が響き渡り店が揺れる。

なんだろうかと思っていると立て続けに何度も地面が揺れる。

そして店の目の前にも何かが落ちる。

竹林さんが冷静にカレンさんからリモコンを取り上げ、テレビをつける。


『ただいま大量の隕石がこち······』

「隕石だそうだ」


マジで必要最低限の情報しか伝わんなかった。


「じゃあ私外出て店に落ちてこないよう見張っときますね」

「いってら〜」


イルさんが店の外に出て行った。

じゃあ俺も店の目の前の隕石を砕くとでもしましょうかね。

そう思い、重い腰を上げると店の外からピシッと音が聞こえた。

振り返ると隕石にヒビが入っているのが確認できる。

扉を開けて近付くとヒビが全体に入っており、そのまま粉々になってしまった。


「えぇ······」


案外脆かったのか?

そんなことを考えながらチリトリとホウキを持ってこようと店に戻ると背後から鳴き声が聞こえた。

声の出処を見ると隕石の破片の下にウサギがいるのがわかった。

なんだろ、変な種類じゃないといいけどな。


「我を助けたまえ、ヒューマン」


最悪だ、知性があるタイプの種類か。

しかもめっちゃ偉そう。

鷲掴みにして持ち上げてじっくりと観察する。

見た目はなんてことないただの茶色いウサギだ。


「瓦礫の下にまだ同胞がいる、どうか助けてやってくれ」


癪だが生き物を見殺しにする趣味は無いので、仕方がなく隕石をひとつひとつ退かしていく。

すると合計で3匹のウサギが出てきた。


「本当にありがとうございました」


なんかコイツ段々と口調が丁寧になってるな。

生き残るための知恵が凄いな。


「なにこれ」

「ウサギです」

「なんでウサギがいるのかって話よ」

「隕石の中に入ってました」

「隕石というより、岩を模した宇宙船です」

「そんなのどうでもいいわ」

「ねえ、それって······ウサギ!!!」

「······カレンまだ食べちゃダメよ」


このウサギ達も可哀想に。

お昼前のカレンさんに出くわすとは。


「わかってるって調理するんでしょ」

「違うわよ、このまま生きたまま······」


イルさんもウサギ食べたかったのか。

じゃあな知的生命体のウサギよ。


「ま、待ってください。あ、愛玩動物として可愛がるというのもありますよ」

「んー、レルどっち?」

「······お昼代が浮くので食べる方で」


ごめんな、実は兎肉は初めてでな。

内心ワクワクなんだ。


「どうしたお前ら、道端に突っ立って」

「竹林さん、オススメのウサギの食べ方ってあります?」

「ウサギ?ウサギならやっぱりシチューだな。それでどうしてウサギなんだ?」

「この隕石の中からウサギが······」


いない。

くそ、あいつら逃げやがったな。

待ってろよ恩知らずのウサギどもめ。

絶対に捕まえてシチューにしてやる。

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