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電波塔ジャック

ジリリリリリリ、という不快な音で目が覚める。


「『ラーメン・デリバリー』だ。······わかった、すぐに向かわせる」


ああ、俺は店で寝てたのか。

口元を拭い、立ち上がって伸びをする。


「レル、電波塔に行ってこい。二人は居ないがまあ頑張れ」

「はーい」


竹林さんが岡持ちにラーメンを入れていく。

その間に装備のチェックを済ませる。


「残り少ないから絶対に割るなよ」

「わかりました」

「行ってこい」

「はい」


岡持ちを持って電波塔を目指す。


「頼んだぞ」


足下から龍が出てきてそれに跨る。

十メートルほどの高さまで上昇し、そこから加速を始める。

ふと頭上に影が差す。


「すみませーん!」

「気をつけろよ〜」


アカエイ宅急便の方とぶつかりそうになってしまった。


「もうちょい高度上げてくれ」

「キュルッ」


ぐんぐん高度を上げていき、恐らく百メールは越えたであろうところでまた加速する。

そのまま5分ほど走っていると電波塔が遠くに見えてきた。

ポケットから竹林さんの分霊を出し、どこに運ぶかを聞く。


『あー、それなら1番広い部屋だと思うぞ。ジャックされたって言ってたしな』


「ありがとうございましたー」


『おう』


そんな会話をしていると電波塔のデザインが視認できるほどには近くまで来ていた。


「一度下に······いや、最上階に向かってくれ」


確かここは高さ三百メートル程で、最上階に展望スペースがあったはずだ。

居るならそこかな。

チラと最上階を横切ると人やら何やらが大勢居るのが確認できた。

最上階の天井部分、アンテナが出てる辺りに着地する。

さてどうするか。


「キュルルッ!」

「どうした?」


なにかあったのかポケットを頭突きしてくる。


「食べ物は今じゃなくても······鱗か?」

「キュル!」


いつでもこいつが成体になれるように入れておいた龍たちの鱗を取り出す。


「どれがいい?」

「キュッ!」


そう言うと風龍の鱗を飲み込んだ。

······そんなことより『デリバリー』を遂行しなければ。


「ギャルルル······」

「お前もう成れたのか、はやいな」

「ギャフッ」


群青をベースにところどころ紫苑や浅緑が混じったその身体で自慢げに鼻を鳴らす。


「かっこいいぞ、······そうだ中に入ってお前は人質?みたいなのを全部外に連れ出してくれ。風操ったらそんなこと出来ないか?」

「ギャルルルル!」


いけそうな顔をしているからいけるのだろう。


「そうと決まればさっさと始めよう。······名前は帰ったら付けてやる」

「ギャオ!」


風龍に飛び乗り電波塔から少し離れ、旋回して窓ガラスに突っ込む。

強化ガラスだっただろうが、こいつの爪の前ではなんの意味もなさなかった。

ガラスが割れ、突入した瞬間に息を大きく吸い込んでこう言い放った。


「『デリバリー』に来ましたぁ!!!」


さて、お仕事を始めるとしましょうか。

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