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騙されてばかりの男
その男は、騙されてばかりでした。
食べ物がない、と言われれば、持っている食べ物をあげてしまいます。
お金がない、と言われれば、お金をあげてしまいます。
だから、いつも貧乏です。
そんな男に一目ぼれした皇女様。
毎日、貧しい暮らしですが、皇女様は幸せでした。
ある日、男が男の子どもを連れてきました。
なんと、人買いに殴る蹴るをされて可哀想だから、と有り金全部で買ったそうです。
それは、今日のパンを買うためのお金でした。
でも、皇女様は許しました。
そして、男の子にいいます。
もう、自由ですよ。
男の子は言いました。
ぜひ、一生をかけて、仕えさせてください。
なんと、この男の子は、人となった妖精でした。
妖精は、この貧乏な夫婦に、たくさんの幸福をもたらしました。




