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妖精憑きの皇女様
帝国には、妖精憑きの皇女様がいました。
妖精にとても愛され、彼女が行くところ、幸福が訪れました。
ある日、皇女様は海の向こうの王国を訪れました。
王国は、王侯貴族・教会・豪商たちのせいで、聖域が真っ黒に輝いていました。
罪のない平民たちは、食べるものも飲むものもなく、苦痛にあえいでいました。
なんて可哀想な人たち。
帝国の皇女様には、結婚を約束した恋人がいました。
しかし、王国で苦しむ民を見て見ぬふりが出来ず、恋人と別れ、王国の王太子と結婚しました。
しかし、王国の王太子にも愛する恋人がいました。
無理矢理、帝国の皇女様と結婚させられた王太子は、愛する恋人との逢瀬を続けました。
王太子と皇女様の間に一人の子どもが生まれてすぐ、皇女様は、王太子の恋人に毒殺されてしまいました。
毒殺に使われたのは、赤いワインでしたので、帝国では、赤いワインは忌み嫌われるようになりました。