過去からのイタズラ
書いてみました。
【ひみつのノート】
第1章「ま法の世界」より抜粋
高校生になって少ししてなれてきたらま法の世界に行く(かってに)
その世界では青軍と赤軍で戦争してる
オレはリーダーになって黒の軍を作る
そして戦争をおわらせる
なおちゃんといっしょに来た世界でオレはま法もけんもさいきょうでだれにもまけない!
(けがもない!)
王さまになったら元の世界にもどる
・ま法は炎と氷が使えてブラックホールが出せる。しゅん間い動もできて空もとべる
・とう明になれる
・なおちゃんとけっこんする
・##########
───────
俺は久崎真一高校1年生。七月も始まり、一学期の期末試験が明日に迫った日の朝。俺は静かに教科書の山を眺めながら呟いた。
「ふっ、余裕だな……」
まさか数時間後に苦労する羽目になるとは、知る余地しかなかった俺である。
* * *
数時間後まともにに勉強してこなかったツケが回り、現在午後十一時五十分。俺は死にかけていた。
デスク用ライトの小さな灯りを頼りに教科書をめくり、親友の龍二からRINEで送ってもらったノートの写真を見ながら必死に頭の中に詰め込んでいた。
「あぁ、もうくそっ!ぜんっぜんわかんねぇよなんだってんだよ。英語なんて本家アメリカ様に行けば2日で覚えるわ!あーはいはい明日テストね、よゆーですよーだ!」
教科書に怒鳴ったって仕方がないが、勉強で溜まりに溜まった怒りをどうにかしないと俺の脳みその方が先にどうにかなってしまいそうだった。
前回の試験で、「せめて1週間前にははじめておけば……」とか「今度は一ヶ月前から……いや、授業中にしっかりとノートを取る所から始めよう」なんて考えが過って酷く後悔するのはわかっていた。
だが、やはり真一の性格的にできなくて、前日になってやっと「赤点だけは回避しよう」という思考になり前日の夕方頃から頑張っている。
前日に足掻いたのと足掻いてないのでは、雲泥の差ができる。どうせ何も勉強していなければ伸び代しかないのでやらないだけ損だ──
という訳で今慌ててやりながら苦労してる訳だが……
「だめだ、ちっとも頭に入らん」
成果は一切出ていない。
成果がないのがわかると、やる気もなくなってしまい「どうせ一学期の期末なんて学期末までに余裕で取り返せる」そんな考えが思い浮かんで、結局ベッドに横になる。
どうせ朝になって眠ったことを後悔するのはわかっているので、予めいつもよりタイマーを2時間早くセットして十二時前に眠りについた。
* * *
翌日、タイマーの大音量と共に後悔の念が夏の蚊のように押し寄せて来た。
憂鬱になりながら身支度をこなし、玄関に手をかけ扉をゆっくり開いた。
「あっ、おはよう真一!」
扉を開けるとそこには美少女が待ち伏せていた。
彼女でもなければ腐れ縁でしかない幼馴染の来宮奈緒だ。
「えーっと?俺いつもより二時間早く起きてるんだけど……
なんでお前は俺よりも早い時間から俺の家の玄関の前に立ってんの?」
そう聞くと彼女はその場をくるりと長い髪を流しながら回ると、八重歯を覗かせた小悪魔的笑顔でこう答えた。
「だって真一はいつもテストの日は朝早いんだもん。そのくらい腐れ縁の私にかかれば昼飯まえよ」
「わざわざ朝ごはん食べたからって昼飯まえって言い直さんでええわ。
そんで?俺の行動を把握して何がしたいのかな?まさかこの歳にもなって一緒に登校したいとかそういう訳じゃないだろ?」
「うーんとね、どうせ真一は勉強不足なので〜僭越ながら学年一位のこの私が、少しでも手助けして差し上げようかと思ってたんだけど……
その態度だと要らないみたいだね」
ほ?そんな事の為に朝早く起きて玄関で待機してくれてたのか。ちょっと目から塩水が……
じゃないや返事しないと!
「ちょ、ちょま!待って待って!
必要!超必要だから!テスト範囲の一部でいいからっ、教えてください!」
わざとらしく少しだけ歩き始めていた奈緒は足を止め、振り向いた。
振り向いた奈緒の顔は万遍の笑みを浮かべていて、どこか絵画の中から出てきたのではないかと言うくらい美しかった。
「ふっふーん、誠意が足りてないんじゃないのかなぁ〜!
あ、そう言えば駅前に出来たカフェのデザート美味しそうだったなぁ〜少し高いけど食べたいなぁ〜」
「わかった!任せろ!
一個でも二個でも千個でも買って差し上げるのでどうか!わたくしめに御教授願います!」
「千個は多いかなぁ〜
まあ、その誠意に免じて今回はしっかり出るところを教えて差し上げましょう」
「はは〜!なおさま〜」
「ほら、馬鹿なことしてないでさっさと教室に行くわよ」
えぇー、始めたのお前からじゃん……二重人格なんですかね。
そう思いつつも、ここでもしそんなこと口にしたら、赤点という地獄からは抜け出せなくなることだろう。
ツッコミは心の中に収めることに決めた俺は小さく頷いて、奈緒に着いて学校へ向かった。
* * *
しばらく歩いて、あとは橋を渡ったらという所で異変は起こった。
身体の自由が突然効かなくなり、周りの音が急に遠く聞こえ始めた。
何が起きたのかと異変を感じていると次の瞬間、俺と奈緒の二人だけが物凄いスピードで宙に飛び上がった。
奈緒は物凄い悲鳴をあげているのにも関わらず、周りの人は見向きもせず、恰も普段通りの平穏な生活ですと言わんばかりに各々が向かう先へ歩いていた。
俺はその状況が飲み込めずただ唖然としながら宙に舞いそれでもなんとか頭の片隅で今の状況を整理しようと小さな脳みそをフル回転させていた。
しかし、なにも思い浮かばず結局訳が分からないと言う状態のまま、気付けば真っ白な空間に俺と奈緒の二人だけが浮いてる状態になっていた。
奈緒はこの空間に来てから……と言うより宙に舞い始めた辺りで目を開いておらず、今も目を開けずに体を丸くして動けずにいた。
状況が理解できなかった俺はただ一言こう漏らした。
「これってどういう状況だってばよ?」
良ければ評価お願いします。