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第九話 魔素の基本

タイトル変更しました。

前 転生したらそこは俺が求めてた世界だった

これからはこのタイトルでいきたいと思います。

 俺は二人の弁当を食べた後、某食べ物調査ガイドの3つ星店を後にした人物のように、教室に向かっていた。


 そういえば、今日の午後の授業は珍しく筋肉トレーニングや、魔力の演習ではないらしい。昨日、グランズ教諭は帰り際のホームルームで明日の午後は特別授業を行う、そういっていた。


 この学校ではクラスによってスケジュールは変わるが、魔素を発現させたり、技を極めたり、演習を行ったり。このように実技が主な授業だ。もちろん、基礎的な科目であるいわゆる国語、数学、歴史、理科もあるが、どれも2週に1回行われるだけの授業である。


 一体どんな授業が行われるのだろうかと思いながら俺は教室に入り、自分の席に座った。辺りを見渡すと、友達とおしゃべりをしている生徒、一人で読書をしている生徒、寝ている生徒。


 この光景どこか懐かしい。少し前まで俺も制服を着てああいう風に過ごしていたんだろうな。いや、今もそうか。しかし、俺はD組に友達といえる存在はいない。世間話する程度の仲ならいるが、リリーやイリアのような友達みたいに、遊んだり、一緒に昼食をたべる、いわゆる仲がいい友達といえる存在はいなかった。少し寂しい気持ちでグランズ教諭が来るのを待っていると


 教室の扉を開ける音が聞こえ、グランズ教諭はゆっくりと歩きながら黒板の前に立った。


「あー、あー。ごほん」

「えーでは特別講習を始めるぞー」


 グランズ教諭はいつものようにだるそうに背中を掻きながらそう言った。黒板には魔素とはなにかと書かれいている。


「中等部を卒業してきている生徒、他校の中等教育を受けた生徒が過半数だろう。そんな皆には、当たり前のような授業かもしれないが、年に数回復習を兼ねて時間をとることになっている。退屈かもしれないが、少しの間我慢してくれ」


 グランズ教諭がそういうと、周りの生徒はため息をつき、ペンを取り出した。


 無理もないだろう、この学院は名門だし、それに中等教育を受けている生徒や、エリートの家庭内教育だってあるはずだ。ほかの学校ではともかく、アムステリア屈指の実力を誇るこの学院ではまさに基礎なのだ。


「皆も知っていると思うが、魔素とは火、風、水、土、光、闇の6種類あると言われている。人類がなぜ魔素を扱えるようになったかはいまだに知られていないが、神話では天使と悪魔のハーフである我々人間の第一世代が、悪魔と天使に育てられ魔素を発現することになったと言われている。これは、あくまで神話の話で皆は勉強をする必要はない」


 ここまでは俺も知っているし、おそらく神話の部分は事実だろう。なにせ俺は魔素の強化の授業で天使を1回見ているわけだ。神話が事実だとすればどういうものか気になるな。今度グランズ教諭に聞いてみるか。


「次に魔力だ。魔力は魔素を操る力の強さといってもいい。皆も入学前にテストしただろう。この学院の平均魔力は5000だ。これは極めて高い数値で、みんな誇っていい。魔力は高貴なくらいほど高いと言われている。なぜだと思うか?」


 そういうと、クラスの皆が手を挙げる。当然俺はわからないため当たらないように下を向いておこう。


「では、ナッツゥ」


 すると彼は席を立ち、元気よくこう答えた。


「はい!人間が社会を形成していくうちに出現する長や重役が、自分たちの子供たちを重役や長同士で結婚させ、それを繰り返してきた我々貴族は魔力が高くなったと言われています」


 そういうと誇らしそうな表情で席に座った。


「その通りだ。元々高い魔力を持つ者同士で交配が進んだ。これは倫理上あまりよくないので、最近では貴族も平民との結婚が許されている」


「次に平民の子に極めて高い魔力を持つ突然変異が起こることがある。これについては諸説あるが、今現在有力なのは偶然の産物という説だ」


 これについては、おそらくもともと魔力が高い人間がいたように、魔力が高い人間も出現するという理屈から出てきた説だろう。そう考えていると続けて教諭は言った。


「次は魔力の相性だ。光と闇を除いた4魔素には相性がある。水は火に、土は水に、風は土に、火は風に強い。光と闇だがこれらは互いに弱い。こういう関係性がある。」


 これは初耳だ。よくゲームなどやっていると出てくるすくみに似ている。この世界にもどうやら相性があるらしい。


「じゃあ、実際にこの教室で小規模な演習をしてみるぞ。俺は火属性だから、だれか水属性の生徒はいないか?」


 グランズ教諭がそういうと、一人の女子生徒が手をあげグランズ教諭のほうに歩いて行った。


「では始めるぞ、火よ、我に力を与えたまえ!火玉!(ファイアーボール )


 すると教室に火の玉が5個ほど現れた。中心ほど黄色く外側に行くとまるで小さな太陽のようにメラメラと燃えている。この5個の玉が当たったら間違いなく重症だろう。

 でも、安心してほしい。この学院には光の魔素を使う最高クラスのヒーラーがいる。俺はまだ会ったこともないが、保健室の先生らしい。


「水よ!私に力を貸して! 水球!(ウォーターボール )


 すると今度は水の玉が3個ほど現れた。こちらは純粋の水が宇宙空間でぷかぷかと浮いているように浮遊している。3個だけで大丈夫なのだろうか。そう思っていると両者が出した玉はぶつかった。


 凄まじい衝突音がしたと思ったら、3個の水球(ウォーターボール )は勢いを衰えさせることなく

 グランズ教諭のほうに向かっていく。


「火よ! 我に力を与えたまえ! 火壁!( ファイアーウォール)


 そういうとまるで水をかけられた線香花火のように、水球が壁に当たるとたちまち消えていった。これはすごい。数では負けていたのにこれだけの威力があるらしい。もし、一つの水の玉だったらどうなっていたのだろう。そう思っていると


「魔素は相性だけでなく、魔力にも依存する。つまり、仮に彼女が凄まじい魔力を保持していたら 水球(ウォーターボール )一つで全てを打ち負かしてただろう」


 そういうとグランズ教諭は額にある汗を拭いながら、教壇においてある水を飲んだ。


 俺も相性に依存しない2魔素を使えるとはいえ、まだまだひよっこだ。

 あれから多少の技を習得することもできたし、剣技も身についてきたが、今の光景をみて焦りを感じる。もっと強くならなければならない。


「あと1週間後には総当たりの演習がある。各々授業はもちろんのこと、自習するようにな。では、少し休憩」


 グランズ教諭はそういうと教室から出て行った。


「まぁ、潜在能力が高いとはいえ、裏口入学の雑魚にはまけねぇーよなぁ。振分け試験の時だって、あれまぐれだろ??」


 クラスの皆が振り向くくらい大きな声で俺に話しかけていた。


 確かにあれはまぐれだったと言わざるを得ない。それにナッツゥ達はエリート中のエリートだ。だけど1週間後の演習では勝ちたい。勝って、俺はAクラスに行きたい。上を目指したい。


 そう思った俺は


「確かにあれはまぐれだった。だけど、どうしても勝ちたいんだ。1週間後の演習の時は勝ってみせる」


 俺はそう静かに口に出していた。すると、ナッツゥは腹を抱えて笑い始めた。


「いやぁ、おもしろいなぁ?魔素すら自由に扱えないお前がDクラスとはいえ俺に勝つだと?無理無理ィ!まぁ、面白い。この授業が終わったら決闘しようぜぇ」


 するとDクラスの連中はなにやら騒めき始め、面白おかしくこっちを見つめていた。今ここで戦っても勝てるかどうかわからない。五分五分だろうか。いや、負ける可能性のほうがたかいだろう。


 それに、ここまで侮辱されて見過ごすわけにはいかない。確率が低かろうが俺はこの勝負を受けるしかない。そう思ったおれは


「やってやる」


 そう少し強い語気で言った。

 





















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