第五十二話 エピローグ
「あのー...... イツキ君たちはここですか?」
アリスは尋ねていた。
「アリス!! どうしたんだ?」
俺の問いにアリスは答えた。
「この戦いにより、死傷者が多数出たと聞きました。ですので、心配で訪ねたのです」
俺たちはそんなアリスに事情を説明した。
「そうですか...... でも! 治せるかもしれません!」
俺たちはそんなアリスの言葉に驚いた。
「一体どうやって!」
ロドリゴ先輩は尋ねている。
「実は、首都ユーミールで皆さんと別れた後、羽を見られたくなかった私は、山で暮らしていました。そんなときに、昔の石板を発見しまして」
「それって、国境近くにあった2mほどのやつか?」
俺の疑問に、アリスは驚いていた。
「はい! それです。あの石板は我々の祖先が数百年前にイースに降り立った時に作られたものらしいです。そして、そこにはこう書かれていました。『イース診療所』と。それが気になった私はその周囲を掘り起こしたのです。そしたら、小さな診療所が現れました。中に入ると、そこには治癒薬と書かれた薬を見つけて、使えるときがあるかもって思って持ってきたんです」
アリスはそう言うと、ビンに入った液体を見せた。
「でも、それって使えるのかしら?」
リリーの疑問に俺たちは頷いていた。
「わかりません...... なにせ数百年前の薬ですから......」
「だが、もし飲ませなければ、エルはずっと苦しみながら寝たままだ」
ロドリゴ先輩は悲しみながら答えていた。
決めるのはロドリゴ先輩だ。俺たちが言うべきじゃない。俺たちはその言葉に何も言うことができなかった。
数分間の沈黙の後、ロドリゴ先輩はアリスを見ていた。
「その薬もらえるか?」
ロドリゴ先輩言葉に、アリスは頷いた。
「もちろんです!」
ロドリゴ先輩は受け取った薬を静かにエル会長の口に流し込んだ。
すると
「げほっ。げほっ! 何かしら! ねばっこくて、変な匂いがする液体が口の中に!!」
「エル!! 良かった!! 本当に良かった!!」
「ロドリゴ? どうしたの急に!」
そんな様子にルルとリリーとイリアもエル会長に抱き着いて泣いていた。
「みんなも! どうしたのかしら? とりあえず、泣かないで! ね?」
エル会長は皆の頭を撫でていた。
良かった。本当に良かった。
「エル会長! 生きててよかったです!!」
「イツキ君まで! それに生きててってどういうこと!」
会長は俺の頭をポカポカ叩いていた。
◇
学院を卒業した俺たちは、リーシュ陛下やイリアの両親に結婚することを認めてもらった。
陛下や、両親曰く、英雄である俺なら、二人を任せられるし、それを拒否する理由はないということらしい。
なので、結婚式を挙げるために、ジャポラに来ていた。
そして、俺の前には白く輝くウエディングドレスを着た二人が立っている。周囲には生徒会の皆や、A組の生徒、陛下、イリアの両親。それに、沢山の人達が俺たちのことを見ていた。
「では、イツキ テンマ。あなたはリリー アムステリアとイリア モントートに永遠の愛を誓いますか?」
「はい、誓います!」
「リリーアムステリア。あなたはイツキ テンマに永遠の愛を誓いますか?」
「はい、誓います!」
「イリア モントート あなたはイツキ テンマに永遠の愛を誓いますか?」
「はい、誓います!」
「では、誓いのキスを」
大勢の仲間たちが、その様子を見ようと俺たちを見ていた。
俺はリリーとイリアに甘く優しいキスをした。
処女作である平凡学生の俺が転移したら潜在能力最強だった件~6色の魔素を使い世界最強~が完結いたしました。正直に言えば、感動しかありません。自画自賛ですが、よく書き終えたと思いたいです。
さて、本作ですが、聖霊の詳しい話など描かれていません。本当は詳しく描写したかったのですが、字数や、実力を考慮し諦めました。そこはご容赦ください。また、機会があれば、大幅に加筆修正して、上げたいと思っています。
最後に、この作品を最後まで読んでいただきありがとうございました。
言い忘れたました! この作品に近いチート系作品をただいま考えています。2月か3月初旬にアップロードできればなあと思っています! ですので、よろしければ、読んでみてください。




