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第三十三話 作戦会議

 俺は南側にいる会長のところに向かうと事情を説明した。会長もリリーたちが負けるとは思っていなかったのか、目をまるくしていた。


「リリーさんたちがね。生徒会のメンバーを捕えたラムース側にお返ししたいところだけど、救出が最優先ね」

「会長! A組の皆にも説明して救出の作戦を練りましょう!」

「ええ。私もそう思っていたわ。私はA組の生徒を集めてくるから、イツキ君は大ホールの使用許可を得てくれないかしら?」

「わかりました!」


 会長はそういうと南側のA組生徒に声をかけている。俺もぼっーとしている場合ではない。早く職員室に向かわなければいけない。俺は足早に職員室に向かうと襲撃のせいか中には誰もいなかった。


「参ったな...... 鍵はどこにあるんだろう」


 俺はなるべく荒さないように職員室をくまなく調べているとカツカツと女性の足音が聞こえてくる。


「イツキ君じゃないの!! こんなところで何をしているの?」

「アリア先生! 実は大ホールの使用許可を得ようと職員室にきたのですが誰もいなくて」

「そういうことね! 大ホールで何をしようと思っていたのかわからないけど、大ホールは怪我人の治療で使うから使えないわ」


 聞けば、今回の戦闘によって学院側は負傷者者16名を出したらしい。加えて、ラムース側の騎士を治療しないわけにはいかないらしく、大きな場所が必要なようだ。


 怪我人の治療に使うのなら仕方がない。それに70人強のの人数に大ホールは必要ない。俺はアリア先生にホールの使用許可を得ようとした。


「ホールね! はい、鍵! でも、イツキ君たち絶対に悪いことをしようと思っているでしょ!」


 まずい。今さっき戦闘が終わったばかりでホールを使いたいなんて人がいたら誰だって怪しく思うはずだ。


 言葉に詰まっていると


「まあ! 内緒にしといてあげる! 先生、なんとなくわかっちゃったから!」


 助かった。なんて理解のある先生なのだろう。ミラにいる天使の代わりにアリア先生が天使になってくれないだろうか。


「ありがとうございます!」

「じゃあ、私は治療があるから」


 アリア先生はそういうと足早に職員室を去っていた。




 俺はホールの鍵を得ると、A組の生徒と合流しホールに向かっていた。


「みんな集まってくれたようね」


 俺たちはホールに集まると、床に座りだす。


「それで、戦闘直後にホールに集合ということは何かあったようだな」


 この男はたしか、技を習得する特訓のときにいた。3年生だろう。


「実は2年A組の生徒である、リリーさんとイリアさんが先ほどの戦闘で捕まったの。それで、オルフェレウス院長はリーシュ陛下にそのことを伝えに言ったわ。でも、いくら娘だとはいえ、帝国の支配権を渡すことはないと思うの。そこでどうにかして助けだそうと思うのだけど、いい案はないかしら?」


 会長がそういうとA組の生徒は茫然としていた。驚くのも無理もないリリーとイリアはこの学院の上位10名に入る実力者だからだ。


「私はその...... リリー様たちを助けたくないとか思っていないんですけど、あんなにお強い二人を捕えたラムースに勝てるのでしょうか?」


 ある女子生徒が手を挙げたと思ったらそう言っていた。


「そうだな。たしかに敵は強いだろう。だが、忘れてはいけないのは俺たちも強いということだ。まだ完全に技を使いこなせない人もいるとは思うが、俺たちは帝国10騎士並みに強い」


 ロドリゴ先輩が答えていた。


 たしかに俺たちは魔力4万越えの最強騎士集団になった。だが、正面から戦えばリリーたちの命もまた危ないのだ。


「会長! 正面から戦えばリリーたちが危ないので、奇襲をかけるべきだと思うのですが」

「そうね。私もそれは考えていたわ。でも、肝心の作戦が思いつかなくてね」


「先輩方...... リリーさんたちの居場所もまだわかっていません」


 ルルは小声でそう言っていた。


「ルルちゃん、その通りよ。私たちは情報を何も知らない」


 ルルの言う通り俺たちはリリーたちの詳しい居場所さえわからなかった。これは困ったな。70人強の生徒がアミルの街に正面から向かうことはできない。ならば数人のグループに分け探す他に手はないだろう。


「会長! 数人のグループを作りアミルの街を探してはどうでしょうか?」

「そうね。やはりその方法しかないようね。4人のグループに分け、約18のグループをつくりましょう」

「そうだな。俺とエルとイツキとルルで班を組もう。その他の連中は適当に組んでくれ」

「あの...... ルルたちはこの中で一番実力があるはず。なぜ私たちで班を組むのですか?」

「それは俺たちで館に侵入するからだ。館の警備にはリリーたちを捕えた実力者がいる可能性が高い」


 ロドリゴ先輩はリリーたちがいる確率が一番高いアミルの館に最大戦力を割こうと言っているわけか。だが、館にいなかった場合、街中に俺たちの存在が知らされリリーとイリアの命が危なくなるだろう。


「ロドリゴ先輩。その作戦だとリリーたちが館にいなかった場合、救出は困難ではないですか?」

「うむ。その通りだ。だから、俺たちは他の班が街をある程度探してからの潜入になる」


 なるほど。先に街を確かめることにより、リリーとイリアがどこにいるか目途がたつということか。

 街にリリーたちが捕らわれていればその場所に向かえばいいし、いなかったら館に捕らわれている可能性が高い。


「ロドリゴの作戦で異論はないようね。でも、問題はあと一つあるわ。この学院をどうやって抜けるかよ」


 会長は白銀の髪を手ぐしでとかしながら立ち上がっていた。


「オルフェレウス院長が返ってくる明日には陛下の決断が分かるでしょう。その結果、何もしなかった場合私たちは数人に別れ馬車乗り場に行く、そこで待ち合わせしましょう」


 俺たちはエル会長の言葉に頷くと会長の「じゃあ、今日はもう解散して、明日に備えましょう」という言葉で、それぞれ部屋に帰った。









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