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第十三話 総当たり戦2

ナンバリングだと話の内容が分かりづらいと思ったためサブタイトルを変更しました!

前 アムステリア帝国魔力大会1~5 は八~十二話となっています。

後、1~7話に気づかないレベルの修正をしました。

 俺は演習場中央につくと辺りを見渡す。これが最後の試合でもう暗くなっていることもあり、皆疲れた表情をしている。中には寝ていいる生徒もいる。


 俺は深呼吸をしサミーと握手を交わす。サミーのほうをみると、見下した態度でこちらを見ながら


「俺は元々Dクラスなんかにいるような人間じゃないんだ。さあ、さっさと始めるぞDが」


 といい、目を細め、小ばかにした表情でこちらの反応をうかがっている。

 こいつは人を見下さないと気が済まない奴なんだろう。人生でこんなに腹が立つことを言ってきた人はいただろうか。いや、いない。俺はサミーをキッとにらみつけた。


「おやおや!! 平民にもそんな顔ができるんだな。いや、平民だからこそ、そういう顔ができるのかもな」


 サミーは高笑いをしている。こいつは人をイラつかせる天才だ。相手にしても無駄だと思った俺は

 先手を取り詠唱する。


「闇よ、力を貸してくれ 闇球!!(ダークボール )


 俺が今現在出せる最大出力だ。総当たり戦のおかげもあり、直径1mほどの禍々しい球ができていた。

 これは今までで最高傑作だ。これならいけるかもしれない。「いくぞっ!!」俺はサミー相手に全速の黒球を投げるが、サミーは風魔素で浮き上がり物凄い速度でそれを回避した。


「いやぁ、遅い遅い! そんなんじゃ、君は一生Dから上がれないよ? 君の試合を見ていたけど、その黒い禍々しい魔素を纏ったとこで、Dクラスの連中の攻撃なら防げたが、本来もっと上にいるはずの私の攻撃は防げないだろうね」


「口で言うなら簡単だ、行動で示したらどうだ」


「ええい! 黙れDが! 今倒してやる」


 そういうと、顔を真っ赤にしたサミーは風魔素で浮き上がり俺のほうに急速に近づきながら詠唱している。


「風よ、我に力を与えたまえ!!! 風刀!!(ウインドブレード)


 風刀!!(ウインドブレード)は風魔素が柄からで刀を形作りながら超高速で回っていた。俺はサミーに向かって闇球!!(ダークボール )を投げる。するとサミーは風刀!!(ウインドブレード)を横に振る。


 すると、闇球!!(ダークボール )は真っ二つに割れ、闇魔素に分解されていく。


 魔法武器(マジカルウェポン )使いか。今まで見てきたどの魔法武器(マジカルウェポン )より切れ味がするどい。強者の衣(マジカルアーマー )で防げるだろうか心配だ。黒球も切断されたんだ。可能性はある。黒球もだめなら、光球もだめだろう。だとしたら、未だに練習中の魔法武器(マジカルアーマー )しかない。


 魔法武器(マジカルウェポン )は未だに練習中で発現するときとしないときがある。単に練習不足もあるが、それは魔法武器(マジカルウェポン )は今までのような詠唱で出現するようなものでなく、人の特性に応じた魔法武器(マジカルウェポン )が出現するからだ。それに、それを扱えるようになるには中等魔素教育もままならない俺にはつらく厳しいものがあった。


 だが、やるしか他に手はない。


「闇よ、俺に力を貸してくれ!! 魔法武器(マジカルウェポン )!!」


 すると周りに舞っている闇魔素が禍々しい剣のような形を構成していくが、明らかに小さい。これは明らかに失敗だろう。誰が見ても明らかだ。それはサバイバルナイフほどの大きさの柄から炎のようにメラメラと燃えている剣であった。これではレンジもなく高速で動くサミーに一撃を加えることは難しい。どうしようか迷っていると


「流石平民よ。その程度の魔法武器(マジカルウェポン )しかだせないとは。安心するがいい、一瞬で倒してやる」


 そういうと、サミーは上空に浮遊し、俺めがけ一直線に降ってくる。


 一瞬の出来事で何が起こったかわからなかったが、どうやらサミーは 風刀!!(ウインドブレード)を振っていたらしい。とんでもない速度だ。だが俺は無傷だった。超高速で振り下ろされたそれは闇魔素を数十センチ切ったところで止まっていた。


「ば、馬鹿な!! この私の一撃でも破れないとは」


 サミーは挙動不審になり突然叫びだした。


「ありえない!! 私はアムステリア中央貴族の子だ! 本来はAクラスにいるべきこの私が。これも全部出来損ないの家庭教師とおまえらのせいだああああ!!!!」


 サミーは突然叫びだし、キッと睨みつけている。中央貴族として生まれたからには本来はもっと魔素を習得しているはずだったんだろう。俺は少し不憫に思えた。こいつは小さいころから一生懸命に努力しこの学院に入学して、親族と同じようにエリート街道を歩むはずだったが、魔素が1色しか発現しなかった。だが、今は勝負だ。俺はどうすればサミーを負かすことができるか考えていると


「切れろ!! なぜ切れない!!」


 何回も何回も風刀!!(ウインドブレード)を俺に対して切り付けていた。


「このままではまた親族に馬鹿にされてしまう! どうにかして切らないと!」


 そういうとまたしても俺に対して切り付けてくる。冷静さを欠いてる人間ほど倒しやすい相手はいない。

 俺はサミーに剣をふったが、サミーはそれを持ち前の速度で回避する。


 やはり速度だけならかなり上位レベルだろう。何をしても避けられてしまうと思っていると


 剣から黒い斬撃がサミーの体に飛んでいく。至近距離から当然避けられるはずもなく、サミーは斬撃を食らうとはるか後方に倒れていた。


「へ、へいみんのくせに......なんという魔力......」


「ああ、俺は確かに魔力にはめぐまれたかもしれない。だが、ほかの才能は0だ。お前だって、十分魔力はたかい。努力すればきっとAにいけるはずだ」


「イツキの勝ちだ」近寄ってきたグランズ教諭がそういうと、アリア先生が回復のため走ってサミーに駆けより回復させようとするが、手を払い拒否する。


 見かねたグランズ教諭が


「なにをやってる! 早く治療をするんだ!」


「そうだ、このままだと学院を休むことになるぞ」


「ふふ......ふははは!! 俺を認めぬ父上も貴様らもこんな国も、もうどうでもよい!! 礼をいうぞ、イツキ。おかげできれいさっぱりしたぞ!! この国の連中は、覚えていろ!!! この借りは必ず返す!!!」


 そういうと、サミーは回復を受けず、負傷した体のままどこかに消えていった。


「と、とりあえず、サミーは私が探しに行く! 総当たり戦は終了だ。今日の授業は終了とする」


 グランズ教諭はそういうと、アリア先生は足早に本館に向かって行き、最初はひそひそ話していたクラスの皆も、落ち着いたのか寮にかえろうとしている。


 平民から強い魔力を持つ子も生まれる一方で、極めてまれに上級貴族から低い魔力で生まれることもあるんだろう。俺はサミーのことがすこし不憫に思えた。


 とにかく、今日はかなり体力を消耗した。俺もみんなと同じように寮に戻ることにした。











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