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1話 夢か現か大ピンチ

巨大な城の再奥にある大広間。

そこでは激しい斬撃音がその場に響き渡る。

‎片方は黒いオーラを立ち上らせ、人と比べれば、二周りは大きい身の丈で大剣を振り回す男。

‎ もう片方は少年のような顔立ちで輝く剣を使い大剣を逸らしている。


少年は勇者と呼ばれる英雄。

‎ 多数の者からの人望と願いを胸に秘め、ここまでやってきた人族の希望だ。



対する男の正体は魔王。

‎ 多くの魔物を従え、人族を滅ぼそうとした魔物の頂点。

黒いオーラを立ち上らせた魔王が吐き捨てるように怒りを口から漏らす。

‎ 「おのれ、おのれ人間風情が......!」

その怒りに答えるように、魔王の振る剣技に力がこもり、迫力が増した。

‎ あまりの威力にとうとう対峙してきた少年は、捌ききれずにバランスを崩す。

そのスキを見逃さずここ一番の力で大剣を振りかざす。

‎ 大きな音と衝撃で、土煙が舞う、だんだんと視界が晴れ、地面が割れているのが見えるがそこに少年の姿はない。

「なんだと?!」


「そこだぁ!!」

背後から煙を払いながらスキをついた勇者の斬撃が大男の背中を切り裂いた。


多少怯んだ魔王は、痛みを咬み殺し、勇者に追撃を与えんと振り返る。

‎だが勇者の攻撃は止まってはいない、そのまま体を回転させた勢いをのせながら、既に

‎魔王の首を狙った斬撃を繰り出している。


剣が交差し、お互いの立ち位置が入れ替わる。


膝を付いたのは勇者。

足には深い傷から真っ赤な血液がドクドクとながれている。


倒れたのは魔王。首の半分が切り裂かれ、血の雨を振らせながら、大きな音を立てて倒れた。


「ご主人様!!」


そのタイミングで、別の幹部の足止めをしてくれていた仲間が駆け寄ってくる。


彼女の名前はアオイ。

奴隷だった頃からは想像出来ないほど成長した回復魔術師の女の子だ。

‎すぐさま俺の怪我の治療を始めてくれている。

「よかった生きててくれて......」

そう言って、涙を浮かべながら治療する彼女の頭をそっと撫でた。


「ああ、心配かけた。でも魔王は倒したんだ。これからはゆっくり出来るさ......!?」


直感的に嫌な予感がして、聖剣を魔王の死体に向ける。


「まだだ......まだ終わらんぞ勇者よ」


(死体がしゃべった?! いや......)


ふわりと、魔王の持っていた大剣が中に浮かぶ。

大剣からさらに強いプレッシャーが発せられ、無機物だった剣に大きな一つ目がギョロリと睨む。

「我の怒りはここで収まらぬ!殺す!殺す!コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロォス!!」


鬼形と化した大剣が、魔王の死体に突き刺さると、魔王の体が黒く膨張して大剣と共に姿を変えていく。


「くそ、魔剣に憎しみが乗り移ったのか」

立ち上がろうとするが、まだ足には力が入らない


「まだ無理です御主人様! 血は止めましたが、内部まで治ったわけではありません!」


「ガァルアアアアアアアアーッ!!」

大きくなっていく黒い影に、大広間の天井がその巨体で破壊され、瓦礫が降り注いだ。


アオイが小さく悲鳴を上げるが、勇者は目を離さなかった。

その視線の先で、黒く曇った空を背後にそれよりもハッキリと黒い憎悪の塊が大きな羽を広げた。


ドラゴンの形をした悪意がそこにいた。


「二人共々塵となるがいい」


ドラゴンと化した魔王の口がゆっくりと開かれながら、大きな力が凝縮していく、口から漏れる黒い炎がその威力を物語るように、周囲の温度を上げていく。


ブレス。それもただのブレスではないだろう。魔王の怒りと憎悪を込めた最後の一撃だ。


避けられるとは考えられなかった。

打ち勝つしかない、相手の気持ちに負けないようにこっちも全てを込めて


「う、うおおおおおおおおおおーッ!」

聖剣に残りの魔力をすべて込めていく、聖剣は強く輝きはじめー-


「シネ」


先に憎悪の光が包み込んだ。


荒れ狂う暴風と衝撃、全てを無にする黒の光が辺りを包み込む。

衝撃音と暴風が届くが、あと一歩のところで勇者までは届かずに防げていた。

「アオイ! 無理するな!」

「う、ぐゥ」

アオイは杖をブレスに向けて、踏ん張っている。

アオイの張った結界が、勇者への攻撃を許さない。

だがあまりの威力に結界にヒビが入り、破片が暴風に流されて散乱し始める。


「薄っぺらな障壁で、フセゲルト思うなァァ!!」

「御主人様は、殺させない!」


ブレスは止まらず、さらに威力が増加する。

‎アオイは杖を両手で突き出し、魔力を込め直す。


拮抗した結界とブレスの勝負はブレスが上回った。

結界が破壊されると同時に、アオイと勇者はブレスに飲み込まれた。



「ありがとう。アオイ」


ように見えた。


黒い光をかき分け、輝く光が辺りを照らす

聖剣は形を変え、光の剣となり、光は星のように勇者の周りを周り、ブレスを防ぐ。

勇者は彼女を抱き抱えて、アオイに小さく微笑んだ。


「ぐ、グオオ、なぜ届かぬ!なぜ!」


「諦めろ魔王」


聖剣の剣先を未だに憎悪を吐き出すドラゴンに向ける。


「闇を払え!聖剣エクスカリバー!」


勇者の声をきっかけに、勇者の周りを守っていた光が収束した後、膨張する。

‎ 周りの影を、ブレスを、闇を、憎悪を、聖剣の光は全てを浄化していく。


「ぐああああああああああぁぁぁ......ぁ!......ぁ.........」


当たりが全て光に包まれた後、光は拡散され一陣の風が吹いた。

黒く曇っていた空も風で散りばめられ、青い空が顔を出した。


カランと元の剣にもどった聖剣を手放して、その場に寝転んだ。


「御主人様!?」


抱きしめられてたアオイは慌てて倒れた勇者の顔をのぞき込む。


「はは、大丈夫だよ。ただ全部出し切っちゃってね」


おちゃらける様に言うその様子に、アオイはホッとした表情で笑う。

その笑顔は空の青さと相なってとても眩しく見えた。


「ああ、アオイは本当に空が似合うね」


「ふぇ、、、も、もうっ!///」


彼女の杖でどつかれた。


真っ赤な顔もそれはそれで似合うよねとか考えて笑ってしまった。


「ほら、もう体は治してますから、立ってください。街に帰るまでは油断しちゃだめですよ」


彼女に急かされて手を取って立ち上がる。


「大丈夫だよ。魔王は今度こそ消滅したよ。

これ以上にピンチになることなんてないさ、これからはずっと平和な日々か続くんだ。」


立ち上がってもアオイの手は離さなかった。

二人で見つめあう時間が流れた。


「アオイ、今後もずっとそばに居てくれるかい?」


「......はい。もちろんで-」


ビシっ


世界の色がネガのように反転した。


世界が静止する。



「なっなんだ! いったい何が?! アオイ?!」


慌ててアオイに話しかけるが、アオイの様子もおかしい。


アオイは空を見上げるようにしながら、ブツブツと何かを呟いている。


「エラー......コード80......緊......起動......確」


「アオイ!」


彼女の肩を揺さぶって大きく名前を呼んだ。


彼女は空から視線を外し、1度目を閉じてから俺を見つめ返した。


「御主人様、起きてください」


ふっと世界が真っ暗になる。

目の前にいた彼女も消え、肩を掴んでいた手も空をきる。


浮遊感を感じたと思うと、後ろに向かって背中から落ちていく。


いくつもの複雑な光の渦の中を通り過ぎ、最後に真っ白な光に飲み込まれたところで……



「ぷはっ!?」

久しぶりに目を開けて、自らの意思で呼吸をした。


システムが無機質な声をかける。

《おはようございます。まもなくカプセルを開封します。》


手足を動かそうとするが、狭い空間の中ではそんなに大きく動かせない。

‎どこだここは?

《落ち着いてください。深呼吸すれば気持ちが落ち着きます》


‎何か狭い箱の中にいるみたいだ。

‎ボヤけた頭がだんだんと鮮明になってくる。

(ここは? ああ、そうだった……)


さっきまでの世界は、コールドスリープ中に見れる夢の世界。

寝ているあいだも楽しめるように備え付けられたゲームの出来事だ。

世界に没頭しすぎてすっかり忘れてた。


たぶんタイマーが働いてしまったんだろう。

どのくらいで起きるように設定してたんだっけな?


《コールドスリープ解除。扉が開きます》


オレはアクビをし、目を擦りながら開いたカプセルから起き上がる。


ドドンッ

大きな揺れを感じる

カプセルの端をつかんで耐えながらあわてて周りを見回す。


コールドスリープから目覚めた俺が見た光景は、けたたましく鳴る非常用アラートと、火の海でした。


「なんぞこれ~」


章か、話の区切りまで書き終えたら投稿するスタイルでいきます。

なので毎日更新とはいかないのでそこのところよろしくお願いします。


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